「牙狼-GARO-」撮影秘話
――そして05年、特撮ドラマ「牙狼-GARO-」で魔戒騎士の主人公・冴島鋼牙というハマリ役を手にします。オーディションなど、当時の様子を教えてください。
オーディションでは台本を読むだけでなく、木刀で素振りをしたり、カメラ前でポーズを決めたりしました。合格したときはとても心配でしたが、雨宮慶太監督も「大丈夫か?」と思っていたようです(笑)。あの時期は、現場のスタッフさんから、人生でいちばん怒られていた時期かもしれませんね。今考えれば、みなさんの愛情なんですが、「そんなに怒る?」と思うほど、怒られていました。
――撮影は24時間に及ぶほどで、かなりハードだったようですね。
1クール(13話)までは、雨宮監督のイメージに合うように、角度や速度、声の高さなど、そういうことを徹底的に仕込まれました。そして、かなり挑戦的な番組だったので、時間も予算もないなか、睡眠時間を削ってでも面白いものを作るという意向もあり、1シーンに100カット近く撮っていたんです。番組の放送が始まっても、ずっと現場にいるので、直接の反響みたいなものはまったく知らずに、必死にアクションをやっていましたね。全然、体育会系の人間ではないので、本当に大変でした。
――放送から12年経った今でも根強い人気がある「牙狼-GARO-」ですが、小西さんがこの作品に関わったことで学んだことはありますか?
照明さんが作り出してくれる光を巧く使って、自分をカッコよく見せるなど、みんなが本気でモノづくりをしていること、ファミリー感の強さを教えられました。雨宮監督は原作・役柄も含め、「牙狼-GARO-」の生みの親なので、自分にとって、もう一人の父親といえるかもしれません。
2017.07.07(金)
文=くれい響
撮影=松本輝一