【WOMAN】
誰の心にも、友からかけられた
忘れられない言葉が輝いている
朝に弱いがんちゃんと、連れだって登校するひーちゃんが、通学電車の中で、壁の花ならぬシートの花になっているシーン。虫やゲームが大好きな高知なまりのピコが、ひっくり返ったセミに感情移入するシーン。そんな描写に、JKのキラキラ感とは真逆の“地味女子5人組のいま”がオーバーラップ。
幼なじみのモテ男子・高遠への叶わぬ片思いを、〈鋼鉄のバリアで 自分の心を守るんや〉と無理矢理封印したがんちゃんだが、心酔しているアーティストを思ってキレイになる努力をしているという久子さんの言葉に触発されて、自分もがんばろうとポジティブになる。
ひーちゃんにとって、ひとりぼっちだったときにがんちゃんがかけた〈遊ぼ〉〈大好き〉というシンプルな言葉は、いまもお守りだ。ひーちゃんの言う通り、友の言葉は〈かけてくれた言葉を思い出すとさ これから何があっても生きていけるって思うんだわ〉という最強の魔法だ。
『雑草たちよ大志を抱け』(全1巻) 池辺 葵
太眉、歌が下手、孤独感、運動音痴、毛深い、など、仲良しにさえ打ち明けられないコンプレックスにうつむきつつも、がんちゃん、ひーちゃん、ピコら5人の青春は、イキイキしている。それは、そっと寄り添ってくれる優しい友がそばにいるから。温かく胸に染みてくる青春群像劇。
祥伝社 680円
Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2017.05.29(月)
文=三浦天紗子