無邪気さが繰り出す
言葉の鈍器で赤面
全校生徒30名の田舎の小学校から転校してきた高田くんは、クラスメイトの西村さんが「死神」と呼ばれている理由を知らない。
西村さん自身は知っている。目つきがぎょろっとしていることを揶揄した、イジメであることを。自分に触ると「呪い」がうつる、と言ってみんなから避けられていることを。
でも、事情を知らない無邪気でKYな高田くんは……〈なんてかっこいいあだ名なんだ……!!〉〈西村さんと仲良くなりたい〉とグイグイくる。
「好き」を連呼し、〈西村さんに触ると強力な『呪い』を授かるらしいからね〉と言い出して、二人で手を繋いで仲良く下校する。西村さんのまっ赤な顔に満たされている感情は、初めての友達ができた嬉しさだけじゃない。
〈二人の間にできた子供だったら死神パワーを受け継いでるんじゃないかな〉
〈大人になったらキスしてもいい?〉
重すぎる発言をさらっとぶつける高田くんにこちらも赤面!
『事情を知らない転校生が
グイグイくる。』 (既刊2巻)
クラスメイトに「死神」とからかわれていた西村さん。何も知らない転校生の高田くんは、「死神」のフレーズにグッときて、「呪われたい」と宣言。その目が好き。一緒にいると幸せ……。無邪気さが繰り出す言葉の鈍器は攻撃力MAX。『月刊ガンガンJOKER』で連載中。
川村 拓 スクウェア・エニックス 562円
2019.05.03(金)
文=吉田大助