自作自演の働き方改革を観察し
普通に働こう、と思えるように
仕事が苦手ならば、言い訳を磨けばいい。働きたくなければ、サボり方を発明すればいい。どうしても働かなければならないならば、会社から給料以上の手当を勝手にぶん捕ればいい!
ウォーターサーバー販売会社の営業マン、26歳の宮本は、自作自演の働き方改革にいそしむ。例えば、営業先では「検討します」と「確認します」の二言だけを繰り返し、頭を使う議論は全て先送り。出張時には「クオカード付きプラン」でホテルを予約し、経理にはバレずに金券をゲットする。部にいる喫煙者のタバコ休憩の時間をエクセル化し、非喫煙者である自分の早退を正当化する。
宮本の目論みはことごとく失敗し、毎回クビになりかける。にもかかわらず首の皮一枚で繫がっているのは、『釣りバカ日誌』のハマちゃんみたいに可愛げがあるから……なんてことはない! 完全無欠の反面教師。普通に働こう、と素直に思えるようになる、ある意味、革命の書。
『明日クビになりそう』(既刊1巻)
宮本はドヤ顔で一言、〈オレは今の俺が良ければそれでいい/たとえこの先どんな未来が待っていてもな!〉。いつもそんな調子で、部署の忘年会の店を予約し忘れ、何も言い出せぬまま同僚達を従えて、先頭を切って冬の街を練り歩くエピソード、最高。『ヤングチャンピオン』連載中。
サレンダー橋本 秋田書店 600円
2018.10.23(火)
文=吉田大助