思いが重たい男の子と
恋を知らない女の子
相手が自分を好きな気持ちの強さと、自分が相手を好きな気持ちの強さは、100%同じであるはずがない。どちらかが必ず、ちょっと強いか重い。両思いと呼ばれる関係であろうと、必ず「片重い」。
高校1年生のカップル、ハイスペックイケメンの花野井くんと、自他共に認める「普通」人・日生ほたるの場合は、花野井くんの気持ちが超絶重い。
そもそもが花野井くんの一目惚れ。名前すら知らなかったほたるは断るも、めげない彼の情熱に負けて、クリスマスまでの3カ月間で付き合うお試し期間を設けることに。
ほたるは、恋する気持ちがどんなものなのかを知らない。花野井くんは、好きな子のためにはなんでもしてあげたい。極限にアンバランスな関係性が少しずつ均衡に近付く、かと思いきや。
要所要所で開示される花野井くんのダークな重さが、シーソーを一気に跳ね上げる。いつか「事故」が起こるのではないか……忍び寄る予感が、本作の魅力。
『花野井くんと恋の病』 (既刊2巻)
元カノにフラれ、雪に濡れていた花野井くん。彼に傘をさし出したことで、高校1年生の日生ほたるは「運命の人」に認定され告白される。〈花野井くんの思う恋と私の思う恋は同じものじゃないのかもしれないけど〉。期間限定のお付き合いはやがて……。『デザート』連載中。
森野 萌 講談社 429~440円
Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2019.05.03(金)
文=吉田大助