トレードマークのヒゲは、フレディ・マーキュリーを意識
――そんななか、10年に相方の松下宣夫さんとお笑いコンビ「デニス」を結成しました。
相方ができたら、辞めるタイミングもないし、その頃は月の給料が3,000円ぐらいだったんですが、YOUさんだけでなく、飲み屋の常連だったみんなが応援してくれていたので、辞めるに辞められない。それで結成2年目のときに「笑っていいとも!増刊号」に出ることが決まったんです。そこで1エピソード話す予定だったのを無視して30分喋ったら、それが受けて、少しずつ仕事が来るようになりました。あと、12年の「THE MANZAI 2012 認定漫才師50組大集結SP」に51番目のテスト要員として出たんですが、そのときの反響も大きかったですね。
――そして、13年にドラマ「海の上の診療所」で役者デビュー。今回『日本で一番悪い奴ら』ではラシード役で映画デビューを飾りました。
「海の上の診療所」はブラジル出身の航海士の役だったんですが、コントだけで、なんにも芝居したことがなかったのに、初めて芝居したのが月9(ドラマ)ですよ! 今回のお話も驚きましたね。ある日、ルミネの劇場の出番が終わって、マネージャーから「ピストルとか麻薬がいっぱい出てくるような映画で、パキスタン人役のオファー来てます~」と、軽い感じで言われたんです。だから、「ちょっと出てもいいかな?」程度だったんですけど、綾野剛さん主演のこんなスゴい作品とは思いもしませんでした。白石(和彌)監督の『凶悪』も観ていて、ファンでしたので驚きました。その後、白石監督やプロデューサーさんと打ち合わせで「すぐ名前が挙がった」と聞いたんですが、そのときほどアヤしいルックスをしていて良かったと思ったことはないですね。
――トレードマークでもある、鼻の下のヒゲはどういうきっかけで生やすように?
「マリオブラザーズ」のマリオとか『トイ・ストーリー』のミスター・ポテトヘッドとか言われるんですが、アパレルで働いていたときに、アメカジだったこともあって、フレディ・マーキュリーっぽいカッコ良さを出そうと思って生やしたんです。そのときから誰にも分かってもらえませんね。モテるためには剃りたいですけれど、もう僕のキャラクターになっているから無理ですね(笑)。
2016.06.24(金)
文=くれい響
撮影=榎本麻美