現代のヤンキー高校生が30年前にタイムスリップ。不良だった若き父親と対峙し、未来を変えるために奮闘する姿を描いた『TSY/タイムスリップヤンキー』で主演を務める綾部祐二(あやべ・ゆうじ)。

 お笑いコンビ「ピース」のツッコミ担当として今や人気者の彼に、俳優へのチャレンジについて聞いた。

なぜか、33歳でヤンキー役のオファー

――昨年は、月9ドラマ「幸せになろうよ」にも出演された綾部さんですが、お笑い芸人を目指される前は、俳優志望だったのでしょうか?

 僕は小学生のときから吉本(興業)に入ろうと決めていたので、役者を目指そうなんて思ったことはありませんでしたよ。

 ただ、10代のときは、トレンディドラマ全盛だったこともあり、ドラマを見るのが大好きでしたね。だから、自分が月9に出れるなんて、夢にも思ってませんでしたよ。

 とにかく、田舎者が憧れているぐらいのノリで、いただいた役者のお仕事をやらせてもらっています。だから、二足のわらじなんて思ってません。

――映画デビュー作は品川ヒロシ監督の『ドロップ』でしたが、出演はどんな経緯で?

 品川さんと仲良かったから(笑)。監督が「現場で独りになりたくない」という理由で、誘ってくれたんですよ。

 僕が演ったルパンという役は最初、オリエンタルラジオの藤森が演る予定だったんですが、演技がヘタだったようで、僕に変わってました。僕からすれば、昔から憧れていたヤンキー映画に出してもらえるなんて、ラッキーでしたね。

――世代的には映画化もされたコミック「ビー・バップ・ハイスクール」を愛読してたんじゃないかと思いますが、『ドロップ』に続く初主演作『喧嘩番長・劇場版 全国制覇』でも、最新主演作の『TSY/タイムスリップヤンキー(以下、TSY)』でもヤンキー役ですね。

 正直、僕にもなぜか分かりません(笑)。憧れてはいましたが、体格がいいわけでもないし、ケンカも弱いし。(元ヤン芸人の)バッドボーイズの佐田さんだったら、話は分かりますよ。

 ただ、地元の暴走族が(伝説のヤンキー雑誌)「チャンプロード」の掲載率1位でしたし、通っていた高校も荒れていましたね。でも、『TSY』の中川通成監督は、僕が過去にヤンキー役ばかり演ってることを知らずに、キャスティングしたんですよ。主役ができる役者さんも限られているなか、僕みたいな芸人にフッてくれるなんて、ホント有難いことですけど……。

――また、33歳という年齢的にも、「なぜ?」と思われませんでしたか?

 そうですね。お芝居の中では、実年齢より下の役を演ることは、よくあることかもしれませんが、実年齢の半分の17歳ですからね。誰かほかにいたんじゃないかとも思います。

 じつは、僕が知らないあいだに髪の毛を染める設定になっていたんです。「髪を染めることになった」と聞いたときは、周りも意外と僕が33歳ってことを気にしてるんじゃないかと思いましたよ(笑)。

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2012.02.10(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Asami Enomoto