先日、主演映画『ヒミズ』(2012年1月14日公開)で、ヴェネチア国際映画祭新人俳優賞を受賞し、内外から注目が集まっている染谷将太。今回は、今年1月に公開され、彼の転機ともなった作品『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』がCSで初放映されるのを機に、話を聞いた。入間人間原作の累計100万部突破の人気小説の映画化となった本作では、10年前の誘拐監禁事件の被害者である、みーくんという難役を演じた染谷。若干19歳ながら芸歴10年、出演映画作品が20本を超える彼が、日本映画界への想いを語る。
幼稚園児でチャップリンの無声映画のファンに
――映画デビュー作は、9歳のときに出演された『STACY』ですが、その年齢で俳優を目指したいと思ったきっかけは?
7歳のときに、同い年の友達から一緒に芸能事務所に入ることを誘われました。その前から映画好きだったのですが、どういう仕事があるのかよく分かってないなか映画を作る人たちがいることは分かっていて、自分もその一員になれたらと思っていました。それが、友人に誘われたことで、“出る(出演する)”という手段があったのかと気付かされたんです。しかも、実際、演ってみたら面白かった。
――なぜ、そこまで映画好きになったのですか?
とにかく父親が映画好きなんです。幼稚園ぐらいのとき、映画という認識もなかったんですがケーブルテレビを見ていたら、チャップリンの短編が流れていたんです。無声映画なので、分かりやすかったのもあって、それ以来、自主的に映画を見るようになりましたね。チャップリンの映画では、『ライムライト』と『独裁者』が好きですね。
――お父さんから、いろいろな作品を見るよう勧められた経験は?
小学校低学年のとき、ピアース・ブロスナンのジェームズ・ボンド(『007』シリーズ)をビデオで見ていたら、父に「これはジェームズ・ボンドじゃない!」と、ショーン・コネリー主演の『007』を見るよう勧められました(笑)。ちなみに『007』シリーズって、小学校低学年にはさすがにちょいちょい分からないところもあるんですよね。(ジェームズ・ボンドの持つ)“殺しのライセンス”の意味自体、分からないので、父親に聞きましたよ。そうしたら「人を殺しても大丈夫っていう……」と、なんか言いづらそうでした(笑)。
――その後、俳優としてやっていくことを意識された作品は?
中学生の頃、廣末哲万監督の『14歳』に出演したときに、この仕事をずっとやっていけたらいいな、と思いました。初めてその現場で、今映画を撮っている、ということを意識したんですね。フィルムでの撮影でしたし、周りの役者さんや完成した作品に衝撃を受けたり、自分のなかで、かなり意識が変わった作品ではありますね。
――ラストシーンに出演されていた『ピンポン』のほか、『パンドラの匣』『東京島』、そして最新作『ヒミズ』と窪塚洋介さんとの共演が多いですよね。
ホント、不思議なんですよ。最近、毎年ご一緒しているような気がするぐらい。でも、僕が一番手にクレジットされた作品(主演作)『パンドラの匣』『ヒミズ』に出てくださっているのも偶然なんですよ。プライベートでお会いすることはほとんどないですが、たまに窪塚さんが試写で良い作品を見た後に、僕に電話をくれたりすることもあります。
2011.12.01(木)
text:Hibiki Kurei
photographs:Miki Fukano
hair&make-up&styling:Miyuki Abe