記念すべき第1回目に登場するのは、感動の実話を映画化した『天国からのエール』(10月1日公開)に出演している矢野聖人(やの まさと)。昨年、蜷川幸雄演出の舞台「身毒丸
(しんとくまる)」主演オーディションでグランプリを受賞し、現在は8月末から続く公演の真っ只中。この秋、最も注目を浴びる、気になるイケメンです。

演技経験なしにもかかわらず、8523人の頂点に。

――まずは、「身毒丸」のオーディションを受けたきっかけを教えてください。

   正直「身毒丸」のことも、蜷川さんのことも知らなかったんですよ。高校3年からファッション誌の読者モデルをやっていて、それを見た今の事務所のマネージャーさんから連絡をもらったんです。事務所と契約できるかな、と思って待ち合わせ場所に行ったら、オーディションの応募用紙を渡されました(笑)。高校を卒業後、飲食店で働いていて、その時は店長代理を任されていたので、当時は「将来は店長かな」と漠然と思っていましたね。

――そんななか、約8500人のなかから選ばれますが、どんな気持ちでしたか?

   まったく演技経験もなかったし、難しいセリフを必死で覚えてオーディションに行っただけですが、ヘタなところが逆に良かったんじゃないか、と思っています。でも、しばらくは夢じゃないのか、とも思っていて、毎朝起きると親に確認したりもしていましたね(笑)。親といえば、一つ上に大学の薬学部に通っている将来有望な兄がいることもあって、僕が大学に行かない、と決めたときは、反対していたし、やっぱり不安だったと思うんですよ。でも最近では、母親が「次はどんな仕事なの?」とか「(『天国からのエール』で共演している)阿部(寛)さんってどんな方?」とか聞いてきたりして(笑)、特殊ではあるけれど、こういう仕事に就けて、ホッとしているようなので……なんか良かったです。

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2011.08.26(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Asami Enomoto