「探偵!ナイトスクープ」のレポーターとして知られる芸人・長原成樹の自伝小説を著者自ら映画化した『犬の首輪とコロッケと』。本作で札付きの不良だった若き日のセイキを演じるのが、鎌苅健太(かまかり・けんた)。3月に解散が決まったバンド、ココア男。のヴォーカル&リーダーでもある彼に、今の熱い想いを聞いた。

舞台経験で演技を一から学ぶ

――鎌苅さんといえば、“ミュージカル「テニスの王子様」(以下、「テニミュ」)”出身ですが、どのようなかたちで事務所に入られたのですか?

 18歳のとき、神戸の病院に入院していたんですが、ほかの患者さんで業界に携わっている方がいて、スカウトされたんです。芸能界には興味はあったんですが、オーディションを受けるなど、自分から動く気はなかったですね。だから、その方からそういう話をもらって、これもなんかの縁やな、と思ったんです。後悔したくないという気持ちもありましたし。

――とはいえ、ミュージカルに必要な、歌も演技も経験されていませんよね?

 確かに演技はもちろん、歌も踊りも、ミュージカルの基礎も何にも知りませんでしたね。でも、初舞台(「THE☆BUSAIKU」)に入るときに、「テニミュ」のオーディションがあって、何も知らずに受けたら、たまたま受かって。だから、必死でした。

――多くの若手俳優を輩出した「テニミュ」ですが、かなり独特な現場ではないでしょうか?

「テニミュ」の現場はもう一回、学校に入り直した感じというか、男子校で青春時代を過ごしたみたいな感覚ですね。ずっと戦っていった感じもありますし、今でも共演者とは仲いいですよ。加藤和樹とは最近も一緒に仕事したりしてますし、ほかにもそのときの共演者で別の現場で頑張っている仲間に会えると、とてもうれしいですね。

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2012.01.06(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Toshiya Kondo