自分の演技は、過去に見たもののコピーでしかない
――コントで演じるキャラと、映画やドラマで演じる役との大きな違いはありますか？
コントはデフォルメですが、お芝居はデフォルメの部分もありつつ、あくまでもリアリティ寄りで、その上オリジナリティも必要とされるんですよ。
でも、僕は芝居に関して、オリジナリティの欠片もないですね。というのも、コント師というのは、基本、コピー能力で勝負しているんですね。たとえば、酔っ払いをお芝居で演じる場合、あくまでも今までに自分が映像で見た酔っ払いのコピーなんです。(バラエティ番組)「ピカルの定理」で「ビバリとルイ」のコントをやらせてもらってますけど、あれは自分がトレンディドラマで見たキャラを、フィルターを通して演じてるだけなんです。
だから、映画の撮影中にときどき、監督から「普段の綾部さんでやってください」と言われても、自分にはそんなデータは存在しない。突然迷子になるんです(笑)。
――ちなみに、『TSY』での翔太朗の役作りは、どんな感じだったんですか？
今回の映画も、台本のページをめくりながら、あの映画の主人公みたいだな、とか思い描きながら役を作っていった気がしますね。あと、いくらヤンキー役といっても、僕の学生時代にいたヤンキーじゃないですからね。だから、ドスをきかして「お前、なんでガン飛ばしてんだよ」というような感じになるのだけは避けたいと思いました。今のコは絶対、そんなこと言いませんから。
昔から自分に付ける点数は厳しいんですけど、僕の演技は、所詮コントの延長というかコピーですよ。そんなことを中川監督に言ったら「みんなコピーだよ」と言われましたけど、自分の演技には自信ないですね。
――以前、冗談で「『オーシャンズ18』か『オーシャンズ19』には出演したい」と話されていましたが、その理由は？
(笑)。あんまり映画に詳しいわけじゃないですけど、ラスベガスを舞台にした、あのゴージャスな感じがカッコ良くて、ずっと憧れているんですよ。だから、またお芝居の仕事ができるなら、あのときのジョージ・クルーニーやブラッド・ピットのようなクールな役を演じてみたいですね。それか、『アウトレイジ』に出てくるような残忍な男もいいですね。個人的には、西田敏行さんや香川照之さんのように、振り幅が広い役者さんに憧れます。
2012.02.10(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Asami Enomoto
