綾野剛が悪徳警官を熱演する映画『日本で一番悪い奴ら』で、S(スパイ)の一人となるパキスタン人のラシードを演じる植野行雄。アヤしいルックスながら、お笑いコンビ「デニス」の“行雄ちゃん”として親しまれる彼の意外な経歴とは?
上京後、向井理と同じ飲み屋で働く
――大阪出身の植野さんですが、上京してきた理由は、お笑い芸人を目指してですか?
高校卒業後は、大阪でチャラチャラしていて、当時付き合っていた彼女と結婚すると思っていました。20歳のときに、お父さんがブラジルに引っ越すって言い始めたんです。お母さんは付いて行くって言ってるけど、会社員のお姉ちゃんは大阪残ると言って。それで僕は、東京に行くことを決めたんです(笑)。
――その頃は、お笑いには興味がなかったということですか?
人前で話すことは好きだったのですが、それを職業にしようとは思ってもいませんでした。だから、上京してすぐは大阪時代の友達の家に入り浸ってました。植野行雄の名でこのルックスだから、それまでバイトも受からなかったのが、知り合いの紹介で西麻布の飲み屋でバイトを始めたんです。芸能人がよくいらっしゃる店で、向井理くんも働いていました。常連だったYOUさんには週2、3回でご飯をごちそうになっていて、生活用品もいただいてました。それで、その後にアパレルメーカーに勤めたんです。
――まだ、NSC東京(吉本興業の養成所)には行かれないんですね。
大手メーカーで3年ぐらい働いていたんです。でも、別に服に興味があったわけでもないので、ほかの人たちのように独立する思いもなく……。気付いたら27歳になっていて、周りの「一度、本当にやりたいことをやったら?」という意見もあって、やっとNSCに行くことを決めました。でも、1年通って辞める予定だったんです。
2016.06.24(金)
文=くれい響
撮影=榎本麻美