1986年のドラマシリーズ第1作以来、長らく愛され続ける「あぶない刑事」の最終作となる劇場版第7作『さらば あぶない刑事』。本作で定年退職目前の刑事コンビ、タカ&ユージの前に現れる中南米マフィア「BOB」のメンバー、ディーノ・カトウを演じた夕輝壽太(ゆうき・じゅった)が自身のルーツを語った。

壽太は祖父の名前から

――ブラジル生まれの夕輝さんですが、壽太という珍しい名前はおじいさんからいただいたそうですね。

 父がブラジル人で、母が日本人なんですが、母方の祖父の名前が壽太なんです。その後、5歳のときに日本に来て、日本の小・中学校に通っていたんですが、父の仕事の事情から高校はブラジルに戻りました。将来はサッカー選手になりたくて、サッカーを続けていたのですが、そのときにあまりのレベルの違いを感じて、さすがに諦めました(笑)。

――では、業界に入ったきっかけはスカウトですか?

 知人と原宿の竹下通りで買い物をしていたときに、スカウトされました。でも、芸能界に対する憧れとか興味はなくて、読者モデルとして雑誌に載れたらいいなぐらいの気持ちで事務所に入ったのですが、お芝居のレッスンをし始めてから、少しずつ気持ちは変わりました。

――その後、「ミュージカル テニスの王子様」でのジャッカル桑原役で注目されますが、役柄的にスキンヘッドをすることに抵抗は?

 子供の頃から髪はずっと長かったんですけれど、原作のキャラがスキンヘッドなので、全然抵抗はなかったです。それから1年間ぐらい頭を丸めていたのですが、それよりもキャリアがなかったのに、初めての舞台ということが怖かった。それに苦手な歌もあって、稽古は大変でした。男子校のような環境で、ぶっちゃけ稽古中に涙もあったり、揉め事もあったり、とにかく熱い舞台で、それに僕自身も感化され、ひとつの役に対して時間をかけて向き合うことの大切さを学びました。

2016.01.22(金)
文=くれい響
撮影=深野未季