さて、勝者の栄冠は誰の手に!
コンテストに話を戻すと、2回のキッチントライアルを終え、さて本番。スターシェフのアミューズが運ばれると、あとはアイランドシェフたちだけで料理を仕上げなくてはならない。さすが全員プロフェッショナルの料理人。真剣勝負の息の抜けない、張り詰めた空気がキッチン全体に漂う。
ずらりと居並ぶ審査員が、粛々と運ばれる料理を試食していく。マダム・ロワゾーを筆頭に9人の審査員。中には香港の料理評論家ウォルター・ケイの顔も。審査のあとで彼に話を聞いたところ「実力伯仲のシェフたちのコンテストは面白い。プレゼンテーション、味……と、それぞれ点数をつけての総合点で競うので、とても公平。チーム名しかわからないから、誰が優勝したかはマダム・ロワゾーと数名の関係者しか知らないんだ」。うー、誰が優勝したのか?
と、一夜明けて、ホテルにはステージが組まれ、優勝者発表へのカウントダウンがはじまる。暮れなずむ夕焼けを見ながら、宿泊客もまじえ、フェスティバルはクライマックスへ。スイーツやカクテルやらのコンテストの優勝者が続々と発表され、ついに真打ち発表!
全員が固唾をのむ中、優勝したのはフランスからやってきたシェフ・ミッシェルとお隣コンスタンス・ル・プリンス・モーリスから参加のシェフ・クリテッシュのチーム。
優勝したふたりのシェフたちにはトロフィーはじめ、副賞もろもろ。スターシェフは、来年、招待シェフとしてモーリシャスに凱旋することになる。アイランドシェフはフランスでの研修が許されるという、意義深い副賞。まさしくシェフたちによる、シェフたちのためのフェスティバルだ。
優勝発表の興奮冷めやらぬままに、最後の晩餐は、ベルマーレ・プラージュのシェフが総出でガラディナーに招待してくれた。アミューズ、スターター、魚料理にはそれぞれペアリングされた、スポンサーのドゥーツ提供の極上シャンパン。肉料理にもバローロ、締めにもデザートワインと、食べるほどに酔い、酔うほどに食べるというディナーが深夜まで続いた。
宿泊客として、こんなユニークな料理フェスティバルに参加できるなんて、とても面白い。ホテルのキッチンをのぞくだけでも楽しいのに、白熱したシェフたちの様子まで見られるなんて! 毎年3月に開催されるこのフェスティバル、極上リゾートのユニーク体験として、参加してみるのもアリだと思う。
最後に。後藤シェフの感想をひと言「こんなに料理に没頭して、そして心から楽しんだのはいつ以来でしょう。自分の店の厨房から出て、とても貴重な体験ができました。またいつか戻ってきて、今度こそ優勝します!」。
Constance Belle Mare Plage(コンスタンス・ベルマール・プラージュ)
所在地 Belle Mare, Poste de Flacq, Mauritius
電話番号 0230-402-2600
URL https://www.constancehotels.com/en/hotels-resorts/mauritius/belle-mare-plage/
Constance Le Prince Maurice(コンスタンス・ル・プリンス・モーリス)
所在地 Route Choisy, Poste de Flacq, Mauritius
電話番号 0230-402-3636
URL https://www.constancehotels.com/en/hotels-resorts/mauritius/le-prince-maurice/
大沢さつき(おおさわ さつき)
大好きなホテル:LAPA PALACE@リスボン
大好きなレストラン:TORRE DEL SARACINO@ソレント
感動した旅:フィリピンのパラワン島ボートダイビング、ボツワナのサファリクルーズ、ムーティ指揮カラヤン没後10周年追悼ヴェルディ「レクイエム」@ウィーン楽友協会
今行きたい場所:ナミブ砂漠
ブログ http://tabi-travell.com
Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
2016.05.17(火)
文・撮影=大沢さつき