宿泊客も楽しめるフェスティバル

インド洋に面したモーリシャスのビーチは、シェフたちの熱いバトルなど我関せずのノンビリムード。

 フェスティバルは丸々1週間つづき、シェフたちの料理バトルだけでなく、実にさまざまな催しが繰り広げられる。

料理フェスの会場となるベルマーレ・プラージュのエントランス。海からの風が抜けて、心地よいことこの上なし。

 たとえばスポンサーのネスプレッソに合うスイーツのコンテストや、テーブルセッティング&サービスのコンテスト、ソムリエやバーマンのコンテストもあるし、はたまた審査員シェフによるクッキングスクールも開催。そんなもろもろの催しの間に、シェフたちは2回だけキッチンでの調整を行い、審査に臨む。

 いつのときも傍観者は気楽なもの。シェフたちの真剣勝負をのぞいたり、さまざま展開されるコンテストを眺めたり、ビーチにも飽きたら、居心地のよい部屋での昼寝と、宿泊客は天国だ。さらには、審査員として招待されているシェフのディナーも満喫できるという恩恵もある。忙しいのはコンテストに参加しているスターシェフたちで、彼ら3人1組による「6ハンズ・ディナー」の料理もつくらなくてはならない。

ベルマーレ・プラージュの客室は、木をふんだんに使ったナチュラル仕様。シンプルで居心地、使い勝手のよいつくりだ。
後藤シェフがメインディッシュを担当した「6ハンズ・ディナー」の1チーム。右となりが英国から参加のシェフ・バーウィンで魚料理担当。そのとなりのシェフ・マークがスターター担当。右端は、オーガナイザーのひとりであるホテルの総料理長のシェフ・アレックス。
これぞ絶賛の嵐だった、後藤シェフのアンガス牛のすき焼き風味。ごはんも添えられており、ジャパニーズ・フレンチの面目躍如の一品でありました。

 幸運なことに、後藤シェフが参加する「6ハンズ・ディナー」を食べることができたのだが、キッチンでも仲の良い3人だったせいか、すこぶるおいしい。そして、後藤シェフ担当のアンガス牛のすき焼き風味がとりわけ見事だった。

 これ、日本人のひいき目ではなくって、食後、各テーブルを回るシェフたちへの質問、絶賛のほとんどが後藤シェフに向けられたものだったことからも裏付けられている。これには同じ日本人として、鼻高々~。

 ある紳士などは、後藤シェフを追いかけてきて「いままで食べたミシュランスターの肉料理の中で、今晩の料理がいちばんおいしかった」とのたまったほど。やったね後藤シェフ!

シェフたちにはビーチバレーの日なるも設けられており、料理づくりの合間にスポーツも。翌日、筋肉痛になるシェフ続出だったようだが。

2016.05.17(火)
文・撮影=大沢さつき