#037 Mauritius
モーリシャス
『不思議の国のアリス』に登場するドードーの故郷
インド洋の西のはずれ、アフリカ大陸まで約2000キロ、南回帰線にほど近いモーリシャス。水没してしまった幻の“レムリア大陸”の一部との説が唱えられたこともある島です。
もともとは無人島だったモーリシャスは、アラブの航海者たちの間では10世紀からその存在を知られていました。そして16世紀に入り、ポルトガル人によって発見され、地図に載ることに。
それまで人間の入っていなかった島は、動物たちのパラダイス。なかでもアヒル×ペンギン×ハゲタカのような見た目の鳥“ドードー”にとって、その頃は彼らの天下だったようです。
ポルトガル語で「のろま」が名前の由来のドードー。もともと警戒心が弱い上に、天敵のない島では、飛ぶ必要がないために翼は退化し、歩くのも苦手。はじめて見る人間に向かって、えっちら、おっちら、近づいていっちゃったのでしょう。船乗りたちに捕獲されて「まずい」とけなされながらも食料とされ、彼らが持ち込んだ家畜にも襲われ、あっという間に絶滅……。
『不思議の国のアリス』に登場するドードーも、マイペースでどこか素っ頓狂。そんなキャラクターが愛されているのか、絶滅してから300年以上経っても、モーリシャスの人々の心に生き続けているようです。みやげ物店ではドードーのTシャツや書籍など、キャラクター商品がたくさん。いわば、元祖ご当地キャラなのかもしれませんね。
2014.12.20(土)
文・撮影=古関千恵子