#037 Mauritius
モーリシャス

『不思議の国のアリス』に登場するドードーの故郷

世界文化遺産のル・モーン。つらい境遇の中でも、自由を求めた人々の思いが宿る岩山です。(C) ディナロビン・ホテル・ゴルフ&スパ

 インド洋の西のはずれ、アフリカ大陸まで約2000キロ、南回帰線にほど近いモーリシャス。水没してしまった幻の“レムリア大陸”の一部との説が唱えられたこともある島です。

モーリシャス土産としてマニアに人気の高いモデルシップ。凝った作品は6人がかりで作成に3~4カ月かかるそう。

 もともとは無人島だったモーリシャスは、アラブの航海者たちの間では10世紀からその存在を知られていました。そして16世紀に入り、ポルトガル人によって発見され、地図に載ることに。

こちらが、どこかとぼけたキャラが愛らしいドードー。残念ながら、17世紀に絶滅……。

 それまで人間の入っていなかった島は、動物たちのパラダイス。なかでもアヒル×ペンギン×ハゲタカのような見た目の鳥“ドードー”にとって、その頃は彼らの天下だったようです。

 ポルトガル語で「のろま」が名前の由来のドードー。もともと警戒心が弱い上に、天敵のない島では、飛ぶ必要がないために翼は退化し、歩くのも苦手。はじめて見る人間に向かって、えっちら、おっちら、近づいていっちゃったのでしょう。船乗りたちに捕獲されて「まずい」とけなされながらも食料とされ、彼らが持ち込んだ家畜にも襲われ、あっという間に絶滅……。

 『不思議の国のアリス』に登場するドードーも、マイペースでどこか素っ頓狂。そんなキャラクターが愛されているのか、絶滅してから300年以上経っても、モーリシャスの人々の心に生き続けているようです。みやげ物店ではドードーのTシャツや書籍など、キャラクター商品がたくさん。いわば、元祖ご当地キャラなのかもしれませんね。

2014.12.20(土)
文・撮影=古関千恵子