#24 Praslin Island
プララン島(セイシェル)

プララン島を代表するビーチ、アンス・ラジオ。ビーチランキングでもおなじみの存在です。

双子ヤシの雌株の実はまるで女性のヒップのよう

 西インド洋に浮かぶ115の島々からなるセイシェル。“エデンの島”や“アダムとイブの島”とも呼ばれる、ヨーロピアン御用達のリゾートアイランズです。楽園のように美しい風景が広がる島々ですが、そればかりが異名の由来ではありません。実は、このプララン島に、そのゆえんがあるのです。

島は車で一周約2時間。世界遺産の島だというのに、喧騒とは無縁な暮らしぶりです。

 セイシェルで2番目に大きなプララン島は、幅約10キロ、長さ約4キロ、東西の両端にくぼみがあるボルトレンチのような形をした島です。その南東部に世界遺産のヴァレ・ド・メ国立公園があります。

 世界遺産に選定された理由は、この界隈にだけ生育する固有種の双子ヤシ(ココ・デ・メール)のセイシェル最大の群生地だから。高さ30~40メートルもあるヤシの木々の中には樹齢1000年を超すものもあるのだそう。鬱蒼と木々が茂るジャングルは光の筋が葉影からいく筋か差し込み、どことなくスピリチュアルな気が流れています。

ヴァレ・ド・メ国立公園。セイシェルには固有の植物が76種以上もあるそう。ジャングル内はトレッキングロードが整備され、ガイドが案内もしてくれます。

 この双子ヤシの木の実が、なんともユニークなのです。

 種としてサイズと重量の2つの部門でギネスに認定され、形はまるで女性の腰部分のよう。興味深いことに、ココ・デ・メールには雄株と雌株があり、雄株の花は男性器のような形をしています。しかも実をつけるまで成長するのに15~20年、受粉後に実が熟すまでに7年もかかるそう。伝説によると、満月の夜に雄株が根っこを地中から引き抜き、雌株の元へ歩いていって受粉をするとか!? 性別があったり、実を結ぶまでに年月がかかったりするあたり、どうも植物っぽくないですよね。

 その不思議な生態から、19世紀にプララン島へ訪れた英国のチャールズ・ゴードン将軍は敬虔なクリスチャンだったこともあり、「双子ヤシこそアダムとイブに違いない! ここはエデンの園だ!」と力説。その説は広まり、彼は森の保護に尽力したそう。

こちらが、双子ヤシの実。緑色の紙片がナンバリングされた保証書。この紙片が2万円分の価値なのかも!?

 ちなみに、双子ヤシの実は購入することも可能です。しかも、ひとつずつIDナンバーが記された保証書付き。“限定”という言葉に弱い私は、ここでしか買えないし……と、1個約3万円でお買い上げ。けれどセイシェルの首都ヴィクトリアに戻った時、屋台で1個1万円くらいで売っているのを見かけた時は、えもいわれぬ複雑な気持ちになりましたが……。

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2014.09.20(土)
文・撮影=古関千恵子