1+1が3にも4にもなる美味しさ

店主の守口さん。

 「パンに具をはさめばサンドイッチ。だからパンと、具材のクオリティを上げれば、当然美味しくなります。でも実は、サンドイッチはそんなに単純ではないのです。具材の組み合わせや合わせるソース、パンとのなじませ方などで、1+1が3にも4にもなるのがサンドイッチの面白さであり、難しさです。また、ベーコンやソースを手作りにするなど、細部に手をかけることで、確実にランクが上がる。そんなところも楽しくて、夢中になりました」と守口さんは言う。

 厨房をデザインする際には、ハンバーガーを焼く鉄板を取り入れた。パンも肉も鉄板で焼く。ぎりぎりのサイズの厨房も、これで格段に動線がよくなり、作業効率が上がった。同時に、バターがしみこんでこんがりと焼けたトーストが具になじみ、サンドイッチ自体もぐっと美味しくなるという、副産物も生んだ。

 パンは、長年バンズを仕入れ、そのクオリティには絶対の信頼を置いている「峰屋」のものをチョイス。「しっかりとボリューム感のある具材を受け止めながらもパンが主張しすぎることがない理想のパンです」と守口さん。

 パンはまさに鮨におけるしゃり。相性がよいものを使うことで具材の美味しさをさらに引き上げ、バラバラに食べるよりもサンドイッチとして頬張ったときのほうがずっと美味しくなる。

 守口さんは、そんなサンドイッチの理論を、ハンバーガー作りを通して学び、実践。だからこそ、理にかなった美味しさを生むことができたのだ。

朝はコーヒー、昼下がりから夜まではワインと一緒に。

 一方、楽しみ方の提案として、自然派のワインをおともに味わうことを提唱している。「バーガーマニア」のコンセプトは“クラフトビール+ハンバーガー”。そこで、サンドイッチには、肩ひじはらない上質な美味しさをと、自然派ワインとの組み合わせをかかげた。

 朝はオニバスコーヒーが焙煎したシングルオリジンのスペシャルティコーヒーと、昼下がりから夜まではフルーティーなワインと。もちろん、テイクアウトもOK。そんなさまざまなシーンに応じた楽しみ方を作り出してくれる、まさにDAY&NIGHT!

 サンドイッチを軸に、HAPPYな1日を紡ぎ出す、そんな店のオープンは実に嬉しい。

DAY&NIGHT
所在地 東京都渋谷区恵比寿2-39-5
電話番号 03-5422-6645
営業時間 8:30~23:00
定休日 水曜
予算 ~3,000円
[2015年12月訪問]

小松宏子(こまつひろこ)
フードライター。女性誌を中心に、食にまつわる記事を執筆。“食の歓びを伝える”をライフワークに、日本が誇る食材、食文化、また、職人の仕事を求めて、全国を回る。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2016.02.15(月)
文・撮影=小松宏子