にわかに熱いサンドイッチ・マーケット
世界の美味しいものが集まる街、東京と言われるが、こと、サンドイッチに関しては決してレベルは高くなかった。
代官山の「トムスサンドイッチ」は40年を経た今も名店だが、まともなサンドといえば、他にはホテルのコーヒーショップくらい。お米の国のだから、と言ってしまえばそれまでだけれど。パンそのものはかなりのレベルにあるのに、だ。
ところが、この1、2年、サンドイッチが熱い。渋谷区を中心に、「キャメルバック」、「キングジョージ」、「トウキョウケンキョ」など、イケてるサンドイッチを出す店がいくつもできてきている。いずれも、本気で美味しいサンドイッチを作りたいという店主の心意気が感じられるのに、雰囲気は肩の力が抜けて洒脱。
それが、今時のサンドイッチ事情だ。
2015年12月1日、そんなサンドイッチブームをあと押しする店が白金商店街の入り口にオープンした。
今やすっかりグルメ通りになった感のある、白金のバス通り、その入口に、DAY&NIGHTのロゴが目を引く。小洒落た外観に惹かれて中へ入れば、NYのダウンタウンを彷彿とさせる、グラフィティな雰囲気。店内に流れるコーヒーのいい香りをかぎながら、愛らしい手描きのメニューを繰ればすっかり気分も上がる。本日のサンドイッチは8種だ。
うーん、どれを選ぼう、魅力的なメニューに悩み多いが、ここでは特におすすめの3種を紹介しよう。
一番人気はなんといってもB.L.T.。言わずと知れた、ベーコン、トマト、レタスの普遍の組み合わせだが、DAY&NIGHTでは、ベーコンをキッチンで手作りしている。豚バラ肉を塩漬けにしてから1日乾燥させ、さらにじっくりスモーク。手間と時間をかけたそれは、噛み締めるほどに味わい深い。
あふれる旨みとかぐわしいスモーク香、そしてほどよい塩気は、フレッシュなトマト、レタス、パンの中でバランスをとりながらも、主役としての存在感を放つ。全体をつなぐマヨネーズはくせのないシンプルなものを。これで食後感がぐっと上質になる。
2016.02.15(月)
文・撮影=小松宏子