LOVE:五目チャーハン
「ロンフウフォン」と「ロウホウトイ」

レストラン:ロウホウトイ│恵比寿3丁目

本当に久しぶりに酢豚をちゃんと食べた。豚の衣がフワフワサクサクなのとあんがすっぱすぎないせいだろうか?

 恵比寿3丁目という、恵比寿駅からも広尾駅からも白金高輪駅からも歩いて行ける、つまり“最寄り駅がない”エリアの商店街。昔ながらの電気屋さんの2階に「ロンフウフォン」という中華料理のお店がある。ヤギヌマさんというシェフがほかでは絶対に食べられないひらめきと実力にまみれたスゴイ料理を出してくれた。しかしヤギヌマシェフはたいそうシャイで、高級クラブのようなシャンデリアがきらめく店内に設えられた厨房をきっちりと閉ざし、料理は赤いベルベットの向こうからぬっと登場するのみ。それをオーナーでサービスのモリタさんが受け取り、銘々に取り分けるという何とも言えない奇っ怪な空間。私はこのお店をこよなく愛していて、一生懸命困難な予約をかき分けて入れさせていただいていた。

 なぜ過去形なのかというと、そのシャイなヤギヌマシェフが身体を壊してしまい、休業になること1年ほど。今年のはじめに「やっと週末だけは営業できることになりました!」とご連絡をいただき1回だけ訪れることができたが、その後はどうなっているのか……。たくさんのファンを週末だけに絞っているのだからあまりガツガツと電話をするのも気が引けて、気になりつつも遠くから見守る態勢。

 そして先日。ふとしたことで、姉妹店で斜め前にある広東料理の「ロウホウトイ」を訪れた。するとそこにいらしたのはサービスをするモリタさんと、鍋をふるヤギヌマさん! 「ロウホウトイ」は香港の街角をイメージした広東料理のお店、ヤギヌマさんは作らないと思い込んでいたのが間違いだった。なんでも震災で香港人シェフをはじめ多くのスタッフが帰国してしまいやむなくの配置だったらしく、さらにそんなこんなを知らせるべくお電話をいただいたらしいのだが私が全然出なかったそうだ(嗚呼……)。

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2011.11.30(水)