LOVE : ポトフ
“宇都宮のバスク”って?

レストラン : クーリ・ルージュ|宇都宮

 宇都宮に“バスク”があるという。“スペインとフランスの国境の地=バスク”は行ったことがないけれど、宇都宮なら何回かある。餃子をたらふく食べられるにぎやかな場所だが、あそこに、バスクがあるの???

 カメラマンさんの車に乗せてもらって訪れたのは、宇都宮駅からは車でも40分くらい、車じゃないと……無理? みたいな場所だった。宇都宮インターチェンジには近いみたい。畑や田んぼの間を走っていくと、白い壁と鮮やかな赤で彩られた素敵な建物が現れる。ここが噂の“宇都宮のバスク”「クーリ・ルージュ」だった。

田園風景で異彩を放つ、赤と白。窓枠なども赤に塗られているのはバスク流だ。店主が趣味で買った遊具やトラクターもお店の風景になじんでいる

 中に入ると、この建物はまたがらりと表情を変える。道路と反対側の大きすぎない窓から小さな畑と小さな森が望め、そこには古いブランコや農具がなんともしっくりと置かれている。鳥の巣箱からは小鳥が顔を出したりして。なんとも落ち着く風景だ。古木の雰囲気を生かした斜め天井の、童話に出てくるような可愛らしい世界観。行ったことはないバスクだけれど、山の中の、おいしい香りのする、ぬくぬくとしたおうちの雰囲気。

 お店に入る前は、車こそちょっとは走っているものの歩いている人の気配があまりなかった。のに。なんとランチ、満席です。食いしん坊の奥様方、近くの現場からきた? 男性陣。賑やかに席を陣取って、独特のぬくぬくした空気のなかで食事をしている。幸せそうだ。

 さあ、我々もそこに混じろう。1890円のランチコースで、選ぶのはもちろん、名物のポトフ。

 まず、前菜の生ハム類がすごくこなれていておいしい。このあたりは大谷石の産地。大谷石で作られた蔵は温度・湿度が一定に保たれており、ハム類を保存するのにぴったりだから、置かせてもらっているのだそうだ。パンもおいしいので、一緒にむしゃむしゃ食べちゃう。

 森の景色を眺めながら焼きたてでパリッとしたパンと加工肉を食べていると、本当にバスクの山のおうちに来たみたいな気持ちになる。多分。

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2012.01.25(水)