おいしさ凝縮、とろとろポトフ

冬にはとくにたまらない「豚すね肉のポトフ仕立て」。前菜とデザート、パン、お茶もつく。夜は内臓を使ったポトフもあるらしいので食べてみたい!

 さて、メインのポトフ。バスク独特の土鍋でグツグツ煮えながらやってくる。湯気がすごい。塩漬けにした豚すね肉が主役なんだけど、まずスープ。とろっとしていてあつあつで冬の幸せがぎゅうっと詰まった味。白いんげん豆がたっぷり入っているので、豆の澱粉と脂が混ざってとろんとするらしい。なんというおいしさの詰まったスープ!

 野菜もたっぷりと入っている。季節にもよるけれど、お店の前でとれた野菜もたくさん使っているそうだ。新鮮野菜には事欠かず、土鍋で煮ても煮崩れないし、どれを食べても野菜ごとの味がくっきりしていて、甘みがある。これもまたスープのおいしさの一部。

 もちろん愛するお肉も忘れちゃいない。すね肉はほろほろに煮えていて、スプーンで切れるくらい。脂のところはぷるんとしていて、いちばんおいしい。塩漬けになっていると、煮え上がりがパサパサせず、味がしっかりと詰まり、さらにはだしとしての威力が段違いによくなる。バスクのおうちではこんな風にお肉やお魚を保存して、おいしく使うそうだ。

 あまりのかわいい非現実感に思い出したのは、小さい頃読んだ「三匹のくま」のお話だ。小さい女の子が三匹のくまの家に留守中に入り込んでスープを飲んでしまう。きっとこんな雰囲気のところで、こんなスープを飲んだ気がする。そんな素敵なところです。

 追記。ここは女の買い物欲(主に食い気)を満たす場所でもある。「クーリ・ルージュ」では焼きたてパンが買えるし、すぐ近くの「ろまんちっく村」は、名前はアレだけど、温泉もある農業公園。信じられない値段で新鮮野菜を買うことができる。お花や観葉植物も充実。

 それぞれ山のようにパンと野菜を買い込んだ我々は、もちろん宇都宮で餃子もたっぷり買ってホクホクと帰路についた。

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2012.01.25(水)