LOVE:すき焼き
お座敷、床の間、仲居さん。いざ、接待ワールドへ

レストラン:今朝(イマアサ)│新橋

 ときどき肉を一緒に食べに行くYくんがすき焼き接待に参加したという。それはそれはめくるめく肉ナイトだったらしいが、“接待する側の部下”だったので静かに座っているほかなかった、あの感動をきちんと消化したい、とわーわー言って熱く語るので肉仲間たちも心を打たれ、久しぶりにすき焼きもいいな、という気にもなり、改めて3人で同じ店の同じコースを食べに行くことにした。

 Yくんは肉仲間のなかでは最年少なので年上の女性ふたりから「じゃあ、出世して接待役(ホスト)になったときのために仕切ってね☆」と命ぜられ、忙しい仕事の合間を縫ってテキパキと予約を取り、日時・出席の確認、リコンファーム、(よくわからないけど)誰が上座かみたいな店との折衝等をこなし、当日は予約の1時間前に「すみませーん!緊急会議で30分遅れまーす!」とそれまでの頑張りをすべて無駄にしていた。

夜のコースで前菜とすき焼きの間に登場する。「冷たいしゃぶしゃぶ」という説明があったが、霜降りを口にする前にさっぱりしていて良い

 さて、会場は新橋にある「今朝(ケサではなくイマアサ)」。明治時代から続く老舗で、文明開化の代表・牛鍋をリアルに出していたであろうお店だ。私は接待される側なのに定刻前に着いてしまう気の利かなさ(まあホスト不在なのはわかっていたが)。エントランスを入ると着物姿の仲居さんたちがズラリと並び、歓迎してくれた。そして地方の巨大温泉ホテルのように廊下を歩き、すでに卓上が設えられたお座敷に通される。床の間には季節の掛け軸とお花。接待される側なので上座の上座に陣取ってメンバーを待つ。

 緊急会議の人を待つことほど無駄なことはないので、ふたり揃ったところで接待スタート。仲居さん、やりにくいだろうがなにしろ接待なので嫌な顔ひとつしない。秋らしい小さな前菜のあとは、赤身肉の冷たいしゃぶしゃぶ。本当に一瞬しか熱を入れないのか、なんと鮮やかな色なのでしょう。しかも、しゃぶっとしたからこそのしっとりとした食感、引き出された甘みがたまらない。そこで私ともうひとりのメンバーは「いますぐYくんの分も出してもらい、完全に食べ終わって器をさげてしまえばなかったことにできるのではないか」という作戦を立てた。「すみませー…」と仲居さんを呼ぶと同時にYくんが入ってきてしまったので遂行はできなかったが、それくらいあとを引きました。

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2011.11.15(火)
text:Mei Hojo