LOVE:デザート
今行かなきゃ! 1年間限定のデザートコース

白金台|キリコナカムラ

 6月はスイーツの取材が続き、甘い甘い1カ月であった。その日は1日6軒の甘いもの屋さん取材をしたのであるが、「キリコナカムラ」は5軒目に訪れたお店。プラチナ通りの「ティルプス」が7月からランチ営業をやめ、その時間にパティシエールの中村樹里子さんをフィーチャーしたデセールのコースを出すということで、先行取材に伺ったわけである。

プカプカ浮いたジュレが塩気のもと。すっきりしたスイカとトマトのスープ。

 5軒目ともなると胃も脳も「甘い」でいっぱいになり、集中力が落ちたり、行動が雑になったりすることがある。実際、5軒目に向かう車内は「もう甘いのつらい~。塩昆布食べたい~」みたいな会話をしていたかも……ごめんなさい。しかし、その逆で、そんな極限状態でもピカーッ! と光る本当においしいものに出会えることがあって、それはうれしい瞬間だ。

 「キリコナカムラ」もそうだった。2皿のデザートの撮影を終え、(「つらいよー」と思いながら)試食に挑んだ。まさに、ピカーッ! 思わずカメラマンと顔を見合わせてしまう。ふたりして、店主にも中村さんにも「いかに自分たちがとんでもない状況に置かれているのにこれをおいしいと思っているか」を切々と説明。というわけで、これは通常の状態で食べないと、と、その場で予約をお願いしたというわけだ。

チーズとミルキーな味を楽しむ2皿目。軽くてミルクの味の余韻。

 本番はデセールのコースをはじめて営業2日目の12:00。ティルプスのかっこいい店内でティルプスのサービスを受けつつコーススタート(なにしろメニューもないし説明を聞いてコソッとメモした程度なので間違いがあったらごめんなさいであるが)! 1皿目は基本的に野菜も入ったスープ。この日はすいかとトマトのスープだ。塩とトマトの小さなジュレがぷかりと浮いているのが、「すいかに塩」理論でスープを甘くしてくれる。バジルの香りもつけてあり、甘いだけでなく爽快。

 お茶のペアリングも注文していたので、ここでワイングラスに入った冷たいジャスミン茶が登場。ひと晩かけて落としたまろやかなものと、さらに香りを出すように淹れたお茶もブレンドして、味も香りもパンチの効いた冷たいジャスミン茶。おいしい……。

 2皿目は旬が始まったばかりの桃のデザートで、これがとんでもなくかわいい! お隣の男性ひとり客は「こんなにかわいいものを男ひとりで食べていいのでしょうか」とつぶやいたほどだ。クレーム・ダンジュとスフレチーズケーキが母体にあり、プルプルしたプラムと桃のソースが添えられている。液体窒素で作ったミルクアイスと一緒に食べるとクリーミーで華やかな味に。小さなメレンゲもサクサク。いよいよ気分が上がる!

軽いムースとトロピカルフルーツ。できたてのムースのおいしさたるや。

 すり鉢のようなまあるい器に入った3皿目はロングペッパーのムース。チュイルとムースの下にバナナやパイナップルなどがコロコロ入っていて、全体的にトロピカルなひと品だ。ムースはとても軽くてまろやかなもの。甘酸っぱいフルーツとのコントラストも楽しい。

 そして2つ目のドリンクは凍頂烏龍茶で、今度は冷たすぎない冷製だ。10℃くらいと言っていたような……。こちらもいい茶葉の実力を精一杯引き出している感じで、とても芳醇なのでワインのように少しずつ飲みながらデザートと合わせるのにぴったり。

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2015.07.25(土)
文・撮影=北條芽以