音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

 さて、近々リリースされるラインナップから、彼らが太鼓判を押す楽曲は?

【次に流行る曲】
DAOKO「水星」

小説を一冊読んだ後のような深い余韻を残す楽曲

伊藤 今回は、なんともパンチのあるアーティスト、“17歳のJKラッパー”です。2013年にはm-floのフィーチャリングに抜擢されたこともあって、その名前だけは知っていましたが。そのメジャーデビューアルバム『DAOKO』に収録された「水星」をはじめて聴いたときは、DAOKOというアーティストへのインタレストが一気に膨らみましたね。

山口 DAOKOときましたか! 新進アーティストをチェックするアンテナが、どんどん研ぎ澄まされてきていますね。僕のフェイスブックやツイッターのタイムラインで、最近、一番の注目になっているアーティストです。信頼できる目利きならぬ耳利きの友人知人が騒いでいたので、気になっていました。

伊藤 やっぱそうなんですね。“これから”感が強いことはもちろんなんですが、彼女の曲を聴き終えたとき、小説を一冊読んだ後のような余韻があります。今までにない、不思議な感性をもったアーティストなんじゃないかなぁ。

山口 久々に「来た!」って感じがありますね。アルバムを通して聴きながら、ポップスのシーンで新しい才能が現れる時ってこんな感じだよなぁって思いました。

伊藤 どんな感じですか?

山口 年齢的にも若いですが、才能自体に瑞々しさがあって、輝いていて、ボーカルから才気があふれ出ている感じがしませんか?

伊藤 “若さ”に関しては、否が応にも突きつけられるというか。悪く言えば“未熟”なんだろうけど、大人には絶対に持つことの出来ない“モノ” をもっていて、かつ、その表現の方法を知っている。“知っている”というよりは“持っている”というか。ラッパーだけに歌詞にはエンターテインメントが満載なんだけど、意外と「私が知らない夜はどこ? あなたの知ってる朝が見たい」っていうところにグッときた。他の箇所が大人を寄せ付けない世界観を持っているのに、この歌詞だけがどの時代も変わらない“17歳の感情”を表現しているから。

山口 歌詞からも輝きを感じます。しかも、新進気鋭のトラックメイカーが集結している感じが、新しいムーブメントの到来という印象です。一方でサウンドプロデューサーは、見識が高いGREAT3の片寄明人さんというのも、バランスが良いですね。非常に秀逸なプロデュースワークを感じます。

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2015.03.14(土)
文=山口哲一、伊藤涼