音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

 さて、近々リリースされるラインナップから、彼らが太鼓判を押す楽曲は?

【次に流行る曲】
RADWIMPS
「君の名は。English edition」

ヴォーカル・野田洋次郎の英語力は?

伊藤 今回は、RADWIMPSの「君の名は。English edition」です。2016年8月にリリースされたサウンドトラックCD『君の名は。』は、大ヒット映画『君の名は。』の主題歌4曲「前前前世」「スパークル」「夢灯籠」「なんでもないや」と劇伴22曲のアルバムでした。「君の名は。English edition」はその主題歌4曲を英語ヴァージョンにしたシングルCDで、RADWIMPSとしては19枚目のシングルです。

山口 英語ヴァージョン出したんですね! ヴォーカルの野田洋次郎は帰国子女で英語堪能なんですよね? 僕が聞く限りでは発音は問題なく感じますが、ネイティブじゃない人が英語の歌詞を書いて歌うのは大変ですよね? ボストン留学5年で、海外の仕事も多い伊藤さんが聞いて彼の英語力はどう感じましたか?

伊藤 ネイティブのイングリッシュスピーカーという印象は持ちませんでしたけど、野田洋次郎らしく英語で歌うとこうなるんだろうなって思いましたよ。

山口 何度か本コラムでも私見を述べましたが、僕のクールジャパンの定義は以下の通りです。「世界のポップカルチャーはハリウッド発がメジャーです。ただ、仮にハリウッド発の市場占有率が6割だとして、残りの4割の中で、日本発のポップカルチャーが一番になれる可能性がある。それをクールジャパンと呼び、政府も後押ししようとしている。その場合、あくまでメインストリームではないので、音楽で言えば歌詞も日本語で構わない。MCや取材は英語で対応できた方が良いけれど、フランスなど国によっては日本語の方が良い」。けれど、メインストリームの中で戦うのだとしたら、英語がネイティブに通用するのが大前提になります。今回のRADWIMPSはどんな戦略、位置づけになるんですかね?

2017.02.14(火)
文=山口哲一、伊藤涼