英語で歌うとアイリッシュの匂いが漂う
伊藤 もちろんメインストリームですよね。映画『君の名は。』はすでにアジアだけでなく世界20カ国近い国で公開されていますが、2017年4月7日からは北米公開が決定しました。これってRADWIMPSが担当をした音楽も映画と一緒に北米マーケットに出ていくということですよね。北米をマーケットにしたタイアップとともにアーティスト・楽曲を送り込めるというのは大きなチャンスですよ。まず日本語詞を新たに英語詞に書き下ろした英語主題歌4曲をシングルとして2017年2月22日に国内リリースします。そして、4曲の英語ヴァージョンを含むサントラ『Your name. (deluxe edition / Original Motion Picture Sound Track)』は日本以外の全世界に配信し、2017年3月10日にはUS盤としてCDリリースするようです。
山口 楽しみですね。映画『君の名は。』自体は、前述の基準で言うと、「クールジャパン」の文脈です。日本的な情緒感、美意識を前提に作られています。ただ、日本好きの外国人からは人気を博すことは間違いないでしょう。そこからどれだけ支持層を広げられるかが気になりますね。
伊藤 まあそうなんですよ。いっても映画がヒットすることが最低条件で、映画を観てもらい音楽と共に感動してもらわないことには始まらない。英語ヴァージョンを4曲とも聴かせてもらいましたが素晴らしいですよ。今更過ぎてなんですけど、サウンド的にもカッコイイし英語でもしっかりとRADWIMPSの世界が伝わってくる。あと英語で聴くとRADWIMPSってアイリッシュな匂いがするんですね。
山口 UKロックの匂いはもともと強いバンドですが、英語で歌うと、たしかにアイリッシュな感じもしますね。僕はサビの「Zenzenzense」だけ、日本語を残しているあたりは秀逸だと思いました。日本のポップカルチャーが好きな人をメインターゲットにしながら、アーティストとしての世界観を英語圏の人に伝える工夫を感じました。
伊藤 前にも話したことがあると思いますが、バンドにおいて90年代にミスチルを聴いて育った世代がミスチル世代。2000年代がRADWIMPS世代で、その次がワンオク世代だと思うんですよ。ミスチルは世界進出はしなかったけど、ワンオクは規模はともかく世界進出している。でも、もしRADWIMPSが世界で大ヒットすれば、これは革命的なことですよね。Jポップファンがワンオクに託した夢を、一つ上の世代が成し遂げてしまうことになるんじゃないですか?
2017.02.14(火)
文=山口哲一、伊藤涼