【次に流行るもう一曲】
奥華子「君がくれた夏」
「お部屋探しマスト♪」でおなじみメガネ女子の新曲
伊藤 もし奥華子という名前をきいても??? という人は、「お料理たのしくなるお部屋~ お部屋さがしマスト♪」って不動産屋の前でキーボード弾きながら歌っているメガネ女子っていえばピンとくるかな? CMソングの女王なんていわれながら、自らCMにまで出演しちゃっている。山口さんは、彼女にどんな印象をもっていますか?
山口 Jポップって言葉がまだなかったニューミュージック全盛の頃から存在する、女性シンガーソングライターの王道の系譜の人というイメージです。常に数人は、ヒットチャートを狙うところにいるし、一度世に出た人は、長く支持されますね。
伊藤 なるほど、ユーミンの系譜ってことですね(笑)。そんな彼女、実は失恋ソングがお得意なシンガーソングライターなんですよね。僕らの本『とびきり愛される女性になる。』(外部サイト)でも『恋』(作詞・作曲/奥華子)という曲を取り上げていますが、「好きになってくれる人だけを 好きになれたらいいのに」になんて歌う。aikoとも西野カナとも加藤ミリヤとも違うタイプの恋愛ソングライターですよね。
山口 そうですね。あの『とびきり恋愛』を書くに際して、ラブソングをたくさん聴きましたが、いろんなタイプの曲があるんだなと、改めてJポップの豊穣さを感じました。
伊藤 今回の曲「君がくれた夏」の不思議なところは、3月発売のシングルなのにタイトルに「夏」といっているところ。これがいい意味での違和感になるかは分からないけど、どうしてこうなったかはちょっと気になる。
山口 そういえばそうですね。
伊藤 映画『あしたになれば。』のタイアップがついているので、その影響かもしれませんね。素朴だけど、心にしみる青春ソングです。けっして派手なタイプではないけど、メジャーデビューして10年。息の長いシンガーソングライターになって、いつかCM「お部屋さがしマスト」の“メガネ女子”を超えるヒットラブソングを作って欲しいです!
山口 ラブソングラボの活動が板に付いてきましたね(笑)。
奥華子「君がくれた夏」
ポニーキャニオン 2015年3月18日発売
1,200円(税抜)
■奥華子は、2004年からキーボード弾き語りによる駅前路上ライブを開始、1年間で2万枚もの自主制作CDを手売りする。その際の驚異的な集客力が話題となり、2005年にメジャーデビュー。本作の表題曲は、小関裕太と黒島結菜がダブル主演を務める映画『あしたになれば。』の主題歌として書き下ろされた。
■「君がくれた夏」作詞・作曲/奥華子
■オフィシャルサイトURL http://www.okuhanako.com/
Column
来月、流行るJポップ チャート不毛時代のヒット曲羅針盤
音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!
2015.03.14(土)
文=山口哲一、伊藤涼