原作者からのお墨付きの言葉
――遥役の谷村美月さんとの共演はいかがでしたか?
撮影中、僕はとにかく気持ちに余裕がなかったので、ベテランの谷村さんの現場での佇まいなどはとても勉強になりました。慣れや経験だけじゃない何かを感じ取らせてもらいました。それに、谷村さんは占いが得意な方なので、休憩中は占いの話で盛り上がったりして、リラックスさせていただきました。
――完成した作品を観たとき、「まったく自分を見ることができなかった」ようですね。
1回目は、あまりの緊張で「観たくない」とまで思っていました。でも、2回目で全体を見られるようになり、3回目でようやく自分の演技の反省点みたいなものを冷静に見られるようになりました。そのときになって、現場で藤井監督から言われていたこと――たとえば、感情の機微の乏しさであったり、映像的な視線の動かし方、舞台で慣れてしまっていた声の距離感などについて、完全に理解できたと思います。
――完成した作品をご覧になった島田荘司さんからは、どのような言葉をかけられましたか?
撮影現場でお会いした先生はとてもオーラのある、まるで僕を包み込んでくれるような優しい方でした。そのときも、お褒めの言葉をいただきましたし、試写会の後にも「初主演作とは思えないほど巧い」と言っていただき、先生の初の映画化作品ということもあり、プレッシャーもありましたが、とても光栄でした。
2014.11.07(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央