外食が続いて栄養バランスが乱れてしまった、冷蔵庫の余り食材や消費期限が迫る調味料の使い方がわからない……体や台所をすっきりさせる“食の帳尻あわせ”のヒントを、フードライター・白央篤司さんが日々の食体験とともに綴ります。
体が求めていた「夏野菜のさっぱりカレー」

このコラムがアップされる頃には日本、少しは秋っぽくなっているだろうか……。一部の予報士さんは「10月まで暑いかも」なんて恐ろしいことを言う。ああ、どうか外れますように。
この原稿を書いているのは9月の2週目だが、まあ暑いこと。寝るときも冷房がまだ欠かせない。そして朝、冷え切った体がつらくて朝湯につかるときもある。エネルギーの無駄づかいしてるなあ……と、地球に申し訳ない気持ちに。
テレビをつければ、「秋なすのおいしい食べ方」なんて特集が。正直、外は殺人的な日差しで「秋って言われても」なんて思ってしまう。前もって収録しなきゃいけないメディアで「旬」を取り扱うのは、本当にむずかしいご時世だ。「食における季節感」は、今後どんなふうに変わっていくのだろう……なんて考えていたら、腹が減った。
スーパーに行って、あれこれ物色。まだまだ夏野菜に目を引かれてしまう。「さらっと軽いけど、スパイシーなものが食べたい」なんてことを心の中で誰かが言い出した。
「例えば、ゴーヤーとトマトで野菜カレーとか」
「肉はあっさり軽く、それでいてうま味はしっかりの鶏のひき肉でどうよ」
「いいねえ!」
決まった、とスーパーでひとりつぶやく。「お昼はどうするか」自分会議、終了だ。買いもの中はよくこんな感じで、ひとりミーティングをしていたりする。家に完熟トマトがあるから、ゴーヤーと鶏ひき肉だけ買って帰ろう。
2025.09.18(木)
文・撮影=白央篤司