およそ8キロ、高原ハイクにいよいよ出発

 さあ、ハイキングスタートだ。事務所付近の出発地点から往復約8キロメートル、3時間ほどの周回コースを歩こう。霧が立ち込める広々とした高原は神々しい雰囲気で、空気がおいしい。

 森へ入っていくと、鳥がさえずり、木の上にはリスの群れも。気配を感じて足元に目線を落とすと今度は大きなトカゲがいる。鮮やかな緑の体に黒いほおが特徴の固有種、ホホグロトカゲだ。トレイルの脇には、高山植物の小さな花が色とりどりに咲いている。

 しばらく歩いて森を抜けると、「ワールズ・エンド」という名のビュースポットに着いた。訳せば「地の果て」という名前のとおり、高さ約900メートルの切り立つ絶壁で、山々や紅茶畑、遠くに海も見渡せる。そんな自然の展望台は、休憩スポットにぴったり。道中にはほかにもビュースポットがあったり、滝や小川が流れていたり見どころが点在する。

 日が高くなって暖かくなるにつれ、家族やカップル、子どもたちと、たくさんの人たちを見かけるように。「頑張って」と日本語で話しかけてくれるおじさんにも出会った。

 そんなこんな、一周し終えて事務所へ戻ると長蛇の列ができていた。どうやら、学校や会社などの団体旅行も多いみたいで、国民にも親しまれているお出かけスポットだとわかった。

 コースは途中の一部に多少の起伏があるが、ほとんどはなだらかでよく整備されているので、地元の人たちもジーンズにスニーカーという格好がほとんどだった。今回はヒョウやサルには会えなかったけれど、のどかな風景のなかのハイキングは充実感たっぷり。ちなみにトゥクトゥクドライバーは散策中、駐車場で待っていてくれる。ちょっと申し訳ない。

2025.08.07(木)
文・写真=一ノ瀬 伸