インド洋に浮かぶ島国・スリランカの魅力、それはウィルダネスだ。数々の国立公園や森林保護区があり、国を象徴するゾウをはじめ、たくさんの野生動物がくらす。希少な動植物や昆虫を観察するために世界中の研究者も訪れているという。そんなスリランカの大自然のなかで、ハイキングやサファリを楽しめるスポットを紹介しよう。


ホートン・プレインズ国立公園で、さわやかハイク

 海外でハイキングというとかなりハードルが高いように聞こえるけれど、恐れることなかれ。スリランカ中央南部にあるホートン・プレインズ国立公園なら、観光気分のまま高原散策が楽しめるだろう。

 現地の公式ガイドブックによれば、この国立公園は標高2100メートル以上の高原地帯に広がっていて面積は約32平方キロメートル。固有種や絶滅危惧種も含め、めずらしい生きものが発見され、ガイドブックの図鑑ページにはサルやヒョウ、ネズミ、カエル、ヘビ、チョウなどの希少種が数多く載っている。ここは周辺の森林保護区とともにユネスコ世界自然遺産「スリランカの中央高地」にも認定されている。

 ホートン・プレインズ国立公園へは、紅茶の産地として有名なヌワラ・エリヤの街からタクシー(またはトゥクトゥク)で山道を上っていって1時間ほど。友人から「スリランカの山間部はのんびりするのに最高だよ」と聞いたぼくは、嬉々として現地を訪れた。

 早朝のほうが天気は安定しているとホテルで聞いたので、午前6時のオープンと同時に園内へ。数日前まで滞在していた海岸エリアの常夏とは打って変わって、なかなか寒い。今回は9月に訪れたが、トゥクトゥクドライバーによれば、12~1月頃はとくに寒くて霜が降りる日もあるとか。持ち合わせのシャツやレインウェアを重ね着してなんとかしのいだ。

 入園ゲートを越え、まずは車でそのまま公園事務所の駐車場まで進めるのだが、その道中でさっそくなにやら動物の群れを発見。東南アジアやインドなどに生息するという大型シカ、サンバーだ。朝日が差すなか草原でくつろぐ姿が、かわいらしい。

 事務所ではレンジャーによる手荷物チェックがおこなわれ、バックパックに入れていたスナック菓子は紙袋に移され、ペットボトルはラベルが剥がされた。プラスチックゴミを出さない対策が徹底されている。

2025.08.07(木)
文・写真=一ノ瀬 伸