みんなの潤滑油となる水島役を演じた「舞い上がれ!」
――事務所に入った当初、2018年当時の状況はいかがでしたか?
1ヶ月に数回あるオーディションにチャレンジしていたのですが、そのうちに「時間もあることだし、ただ待っているだけじゃなく、自分たちで映画を作って発表した方がいいんじゃないか?」という考えも強まり、それで映画祭で知り合った俳優・宮田佳典くんと一緒に、後に『SUPER HAPPY FOREVER』となる映画の企画を始動させました。
宮田くんと2人で「自分たち主演で映画を撮ってもらうとき、ワクワクする監督は誰か?」と話し合い、『息を殺して』『泳ぎすぎた夜』を撮っていた五十嵐耕平さんにお願いすることを決めたんですが、そのときは監督と面識がなかったんですよ(笑)。
――その後、約6年間に及ぶ『SUPER HAPPY FOREVER』の製作が動く中、22年にはNHK朝ドラ「舞い上がれ!」に出演。「航空学校編」における福原遥さん演じるヒロイン・舞の同期・水島祐樹役を演じられました。
「舞い上がれ!」のオーディションを受け、参加させてもらったことは、僕にとって大きな転機になりました。やはり朝ドラは、放送後の反響がとんでもなかったです! 地元の人や友だちのお母さんにまで出演したことが広がっていたほかにも、本当に街で声をかけられることもたびたびありました。いちばん驚いたのは、山口に行ったときに、山口宇部空港で、実際のパイロットの方に声をかけられたことでした。
――福原さんや目黒蓮さんなど、同世代の俳優が多い現場において、どこかお調子者キャラの水島を演じられたことについては?
水島はみんなの潤滑油というか、みんなを繋ぎつつ、その場を機能させるような役どころだったので、現場では明るく楽しく演じることを心掛けていました。脚本に、彼がお調子者である背景もしっかり描かれていたのも有難かったです。
主演の福原さんは、誰よりもいちばん忙しくて、セリフ量もあるはずなのに、誰よりも気を配られていて、疲れた表情を一切見せなかったんです。福原さん以外の方も、みなさんプロ意識が強い方ばかりで、第一に「どうすれば、この作品は良くなるんだろう?」と考えられていて、かなりの熱量を感じました。
教官役の吉川晃司さんとは、プライベートでも連絡を取り合って、ご飯に連れて行ってもらいました。
2024.10.25(金)
文=くれい響
写真=平松市聖