〈摩周・川湯温泉〉道内最古の国立公園で奥深い魅力を発見する

 釧路湿原を抜けると列車は、北海道ならではの牧歌的な風景が広がる酪農エリア・標茶町を通って、やがて阿寒摩周国立公園内へ。

【摩周駅】美しい湖の絶景をゆったり満喫

 阿寒摩周国立公園は、このたび90周年を迎えた日本でも屈指の古い歴史をもつ国立公園で、約9万ヘクタールの広大な土地の90%以上が手つかずの自然保護地域。

 公園内には、摩周湖、阿寒湖、屈斜路湖など見どころが豊富です。

 ただし釧網本線の旅では、接続するバスの本数が極めて少ないため、摩周駅からタクシーなどの利用が基本。事前に予約しておくのが確実です。

◆摩周湖を望む特等席でゆったり過ごす⇒【摩周湖カムイテラス】

 世界有数の透明度を誇る摩周湖。晴れた日には「摩周ブルー」と称賛される、美しい湖面を眺める特等席となるのが、摩周湖第一展望台です。

 2022年には「摩周湖カムイテラス」がオープン。カフェでゆったり絶景を満喫できるほか、お土産探しも楽しめます。

【川湯温泉駅】大地のパワーを感じる非日常スポットへ

 この地域で途中下車におすすめなのが川湯温泉駅。のどかな駅前には、おしゃれなカフェやパン工房などがあり、人気を集めています。

 また、レトロな温泉街へは接続する路線バスで10分ほど。昭和の大横綱・大鵬が少年時代を過ごしたことから、大鵬相撲記念館などもあります。

 ちなみに現在、「川湯温泉街まちづくりマスタープラン」に基づいて、星野リゾートによる魅力の再構築事業も進行中。2026年には「界 テシカガ」が開業を予定するなど、これから注目の温泉地なのです。

 さらに必見は、川湯温泉駅から徒歩30分ほどのところにある硫黄山(アトサヌプリ)。

 硫黄の匂いが漂う荒漠とした風景のなかにもうもうと湯気が立ち昇る様は、非日常感たっぷり。釧路湿原や摩周湖とはまったく異なる光景に、北海道の奥深さを実感できます。

◆大地のパワーを感じる驚嘆スポット⇒【硫黄山MOKMOKベース】

 北海道の雄大な大地のパワーを体感できる場所として人気の硫黄山。川湯温泉の源であり、かつては鉱山としてこの地域発展の礎となった場所です。

 現在では、日本で最も近づいて噴気孔観賞ができる活火山として知られていて、2023年夏には自然観光施設「硫黄山MOKMOKベース」が誕生。シアター気分で硫黄山観賞を楽しめるようになっています。

2024.10.16(水)
文=矢野詔次郎
写真=鈴木七絵、橋本 篤
協力=北海道観光機構、JR北海道

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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