●役者としてワンステップ上がった「刀ミュ」での経験
『きさらぎ駅』は撮影方法が特殊で、かなり難しかったのですが、映像のお芝居で大切にしていることは「こういう人いるわ!」と思ってもらえるよう、リアルさを出すことだと思っています。
役柄的にもクズ男だったので、その中で人間味を出すところの面白さもありました。あと「ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA」をやっていた寺坂頼我との出会いもあったので、ファン目線でいろいろ裏話を聞かせてもらってもらいました(笑)。
「壁こじ」では「動物戦隊ジュウオウジャー」の中尾暢樹くんとの出会いもありましたし、作品ごとに素敵な出会いがありますね。
――23年からは、ミュージカル『刀剣乱舞』にて、へし切長谷部役を演じられています。世界的にも人気な歴史ある「刀ミュ」への参加はいかがでしたか?
「刀ミュ」を応援している方がたくさんいらっしゃるということもあって、プレッシャーは半端じゃなかったですし、へし切長谷部というキャラクターのことをよく知っていたからこそ「ファンの方の期待に応えられるか?」という責任を感じていました。
それまで「イケメン戦国 THE STAGE」で徳川家康を演じたことはあったのですが、いわゆる2.5次元ミュージカルは、ほぼ初めてで。「熱さ」や「生きざま」といったワードは、稽古の段階でも演出の茅野イサムさんに何度も言われていましたし、僕が演じたへし切長谷部は、作品の中で隊長として他の刀剣男士たちを率いる立場だったので、心と身体が全然追いつかない日々でした。
だから、開幕した後にいろんな方から「へし切長谷部が素敵だった」と言っていただけて、本当に良かったです。茅野さんに厳しく鍛えてもらいながら成長させてもらったので、役者としてワンステップ上がった作品になりました。
――24年に入り、明治モダン歌劇「恋花幕明録~前日譚~」では主人公・斎藤一を演じられました。
今、25歳なのですが、座長を務めるということが、初めてに近かったんです。座長となると、歳下の子と共演する機会も多くなるのですが、有難いことに、この作品の共演者はまだ先輩の方が多かったので、その人たちに喰らいついていこうと思う気持ちの方が強かったんです。だから、「俺が座長なんだ」って感覚は、まったくなく、周りの方に助けてもらっていた座長でした。
2024.05.10(金)
文=くれい 響
撮影=今井知佑