昨年末から主演作を含む、4本の出演映画が連続公開されている若葉竜也。「CREA WEB」には前回から2年を経て再登場。自ら「凡人で、羞恥心が強い人間」と語る、彼の独自の思想や演技論に迫ります。

●報道で初めて気づく程度の初主演感

――『愛がなんだ』に続き、ふたたび今泉力哉監督作への出演となった『あの頃。』(現在公開中)では、若葉さんらが演じられたハロプロオタクたちのわちゃわちゃ感が伝わる作品でした。現場の雰囲気はいかがでしたか?

 最初、今泉さんに「全体の温度が高くなり過ぎないかが不安」ということを話していたんです。それによって『あの頃。』という作品のテーマみたいなものが崩れてしまうと思っていたので。それで現場ではいろいろとセーブしながらやっていこうと思っていたんですが、共演者の方はみんなオトナなので、今泉さんが「もうちょっとテンション上げても……」と言うほど、いい塩梅でした。

 それに、今泉さんの演出力とカメラマンの岩永洋さんの画作りの温度感にも、助けられた部分があったと思います。この現場でも太賀と一緒でしたが、僕らの中では「次はどこの現場で、どんな関係性の芝居でやるか」が楽しみで、かつ、ちょっとした課題になっています。

――『あの頃。』と公開は逆になってしまいましたが、その前に撮った今泉力哉監督『街の上で』(現在公開中)はご自身にとって、初主演映画となりました。

 これまで、番手にこだわってなかったので、気づいたら初主演という感じで、これも報道されたことで実感しました。じつは『愛がなんだ』を撮る前から、今泉さんが下北沢を舞台にした映画を撮る企画は知っていて、個人的にも期待値が高かったんです。

 だから、『愛がなんだ』の公開中に企画書を渡されたときには正直驚きましたし、直感で「やります」と言ったのを覚えています。

●『愛がなんだ』も『街の上で』も役名が青

――『街の上で』で演じた青(あお)に関しては、『愛がなんだ』のナカハラを意識しなかったそうですね。

 僕のなかではまったくなく、台本に沿って演じただけです。『愛がなんだ』のナカハラの名前は青(せい)で、『街の上で』では青(あお)。今泉さんの中ではナカハラのイメージや思い入れはあったようですね。

――『街の上で』は、コロナ禍により公開が1年延期されました。

 この1年間で、共演した4人の女優さんたちがみなさん活躍されるようになりましたし、僕自身も「朝ドラ」に出たことで、いろんな人たちに『街の上で』という作品を知ってもらえる状況になって、スゴく良かったと思っています。

2021.05.21(金)
文=くれい 響
写真=佐藤 亘