この記事の連載

 花を買って家に飾る、それだけでも十分に豊かな時間を過ごせるけど、花の楽しみ方はノールール。今まで知らなかった新しい花との付き合い方を、フラワーデザイナーの佐藤俊輔さんがお届け。

 もっと自由に花と触れ合って、プレイフルな日々を楽しもう。


 常夏の楽園、タイ。首都バンコクは世界中からモノとヒトが集まる大都会。花も例外ではありません。世界に流通する洋ランの8割を生産するといわれるタイは、トロピカルな植物の世界的な輸出国です。花を通してバンコクを巡ってみると、いつもの観光スポットが全く違って見えるかもしれません。

 前回はバンコクの人気観光地、チャトゥチャックのウィークエンドマーケットを巡りました。後篇はバンコクの生花を巡る旅を、フラワーデザイナーの佐藤俊輔がナビゲートします。

空港や市内に溢れる色鮮やかな花々

 バンコクの空の玄関口、スワンナプーム国際空港に降り立つと南国特有の暖かい空気とエキゾチックな香りとともに我々を迎えてくれるのが、空港の各所に飾られたランです。

 特にタイで生産が盛んなデンファレは様々な種類のものを見ることができます。花に囲まれる贅沢を味わえるのは、気候と日差しに恵まれたタイならではの体験です。

 バンコク市内に入ると、タクシーのバックミラーにジャスミンの白い花で作られた花環がかけられていたり、路傍の小さな祠に黄色いマリーゴールドの花飾りが捧げられていたり、ホテルのロビーに巨大な生花の装飾があったりなど、花とともに豊かに生きるタイの人々の暮らしを垣間見ることができます。

 そして、その花々がどこから辿り着いたのか探ってみると、タイ最大の生花市場、パーク・クローン花市場に行きつきます。

タイ最大の生花市場、パーク・クローン花市場へ

 パーク・クローン花市場にはバンコクの中心部からタクシーで30分程度で到着しますが、最近は近くに駅ができたので、地下鉄でもアクセスできるようになりました。

 またバンコクにはチャオプラヤ川が流れていて、水上バスも頻繁に運行されています。パーク・クローン花市場はチャオプラヤ川のすぐ近くなので、水上バスでチャオプラヤ川クルーズを楽しみながら向かうことも可能です。

 パーク・クローン花市場は朝から晩まで24時間営業している市場ですが、涼しくて花にとって条件の良い、宵の口から深夜にかけての時間が一番賑わっています。夜、食事をした後に立ち寄るのがベストですが、花の色をしっかりと見たい場合は昼間がおすすめです。

2023.08.30(水)
文=佐藤俊輔