花を買って家に飾る、それだけでも十分に豊かな時間を過ごせるけど、花の楽しみ方はノールール。今まで知らなかった花との新しい付き合い方を、フラワーデザイナーの佐藤俊輔さんがお届け。もっと自由に花と触れ合って、プレイフルな日々を楽しもう。


花器になる美しきリキュールボトル7選

 肌に感じる風が少し冷たくなり、花屋さんにも秋の花が仲間入り。暑い夏には控えていた花飾りを、思いっきり楽しめる季節が到来しました。さっそく部屋に花を迎える準備をしていきましょう。

 まず用意したいのが、花器ですが、「そもそも花器を持っていない」「買ってきた花に合うサイズの花器を揃えるのが難しい」「花器は意外と高価で購入を迷っている」といった方も多いのではないでしょうか。

 そんな人でも大丈夫です。花専用の器でなくても、空き瓶やコップ、プレートなど、実は色々なものに花を飾ることができます。

 今回は、食欲の秋にあわせて、リキュールボトルをテーマに、飲んだ後に花器として大活躍するおすすめのものをご紹介します。

01 グスタブ アドルフ シュミットのブルーネコボトル

 最初に紹介するのは、ネコの形をしたボトルが特徴のドイツの白ワイン「ツェラー・シュワルツ・カッツ」です。

 ともすると子供っぽくなってしまいがちなネコグッズですが、このボトルはネコのシルエットになっていて、深い青色と相まって、可愛さの中にも洗練された印象が漂います。

 花は、うねるような花びらが特徴のウェーブ咲きのガーベラを合わせました。可愛い花の代表といったガーベラですが、ウェーブ咲きの品種をセレクトすると、ぐっと大人っぽくなり、ネコボトルの雰囲気にピッタリです。青いカラーで統一感を出すなら、デルフィニウムやブルースターなどの青い花を飾るのもおすすめです。

02 いいちこのフラスコボトル

 2番目に紹介するのは、大分の麦焼酎「いいちこフラスコボトル」です。名前のとおりフラスコを模したシルエットが特徴のボトルで、無駄をそぎ落とした洗練されたデザインは、澄み切った焼酎に合わせて作られたものです。

 このボトルにはドライフラワーとしても人気上昇中のスターチスの「エバーライト」という品種と、秋の訪れを告げるケイトウの「セルウェイテラコッタ」という品種を合わせてみました。華奢な茎と、小ぶりな花びらが特徴のエバーライトと、淡いカラーが特徴のセルウェイテラコッタ。洗練されたボトルと繊細な花が生み出す、透明感を楽しんでみてはいかがでしょうか?

03 女児紅のブルーボトル

 3番目に紹介するのは、紹興酒の「女児紅」です。中国では娘が生まれた時に地面に埋め、娘が嫁入りする際に掘り出して飲むことからこの名前がついたといわれる、縁起のいいお酒です。

 色々なタイプのボトルが出回っていますが、シャープなシルエットのこのタイプは、花器にしたときにちょうどいい量の水が入るのでおすすめです。

 青磁を思わせる、透き通るような優しい青色は、花色を選ばずに飾ることができます。今回はビビッドなピンクの芍薬の造花を合わせてみました。

 春から初夏が旬の芍薬は、本来であれば今の時期には手に入りませんが、季節を飛び越えて生けられるのが造花の魅力です。中国が原産の芍薬、器選びに迷ったら、花と器の原産国を合わせるコーディネートをしてみるのもいいかもしれません。

04 ヘンドリックスの重厚ボトル

 4番目に紹介するのは、イギリスのジン「ヘンドリックス」です。イギリスのスコットランドで蒸溜からボトリングまでを行っている、格式あるプレミアムなジンで、ボトルの重厚なデザインにその誇りが表れています。

 ボトル自体に重みがあるので、カトレアやユリなどの顔が大きくボリュームのある花を安定して生けることができます。今回は、バジルの品種「ダークオパール」と光沢のある実が美しいビバーナムティヌスを合わせてみました。

 ワンランク上の花飾りをしたい場合は、あえて花を使わずに、色の美しい葉や実を合わせてみるのもおすすめです。香草や薬草のエキスが加えられているヘンドリックスには、ハーブがよく合いますよ。

2022.10.04(火)
文=佐藤俊輔
撮影=平松市聖