05 バロンオタールVSOPの流線形ボトル
5番目に紹介するのはフランスのコニャック「バロンオタールVSOP」です。コニャックは、ブランデーの中でもコニャック地方周辺で生産され、様々な条件をクリアして造られる品質の高いお酒。
18世紀のコニャック市長のオタール男爵の名を冠したこのボトルは、流線形のラインが、洗練された中にもどこかふくよかさを感じさせるのが特徴です。
エレガントなこのボトルには、造花の胡蝶蘭をセレクトしてみました。高価で頻繁に購入することがためらわれる蘭類は、思い切って質のいい造花を1本購入するのもオススメです。造花に水は必要ありませんが、あえて水を入れることで生花のような演出をすることができます。
06 ジャズ・ナトゥーレ・レセルバの鍵盤ボトル
6番目に紹介するのは、スペインのカヴァ「ジャズ・ナトゥーレ・レセルバ」です。バルセロナ出身の世界的ジャズバンドとのコラボレーションで誕生したスパークリングワインで、ピアノの鍵盤をモチーフにしたデザインが特徴のボトルです。
鍵盤のデザインを美しく見せるためか、ワインボトルには珍しくガラスがクリアなので生けた花の茎をすらりと見せることができます。
今回は、秋色アジサイを生けてみました。深めの水に生けると長持ちするアジサイには高さのあるワインボトルがピッタリです。重量もそれなりにあるので、アジサイのような顔の大きい、ボリュームのある花を生けることができるのもうれしい点です。
07 ミニボトル
7番目に紹介するのは、スコッチウイスキーの「シーバスリーガル」、テキーラの「カサノブレ」、ウォッカの「ヴィルヴァルゲ」のミニボトルです。
ミニサイズのボトルは、小さな花や短くなった花を生けるのに重宝します。
今回はバラの品種違いで「ラ・シャンス」「シャンスポム」「レッドエレガンス」を生けてみました。色や咲き方、大きさ、香りで様々な個性をもつバラ。まとめて飾るのも素敵ですが、別々に生けてそれぞれの特徴を楽しむ飾り方も、バラの奥深さを再発見できるのでオススメです。
今回は葉物に「アイビー」を添えています。3つのボトルを行き来するように弦を軽く絡めると、別々のボトルに入った異なる品種でもまとまりが生まれます。
いかがでしたでしょうか。花器に特別な決まりはありません。花専用の器でなくても、時には水が入らない器でも、飾った花が美しくあることができるなら、なんの問題もありません。
今回は通常の花器の定義を飛び越えて、リキュールボトルというテーマで様々なものをご紹介してきました。
花器として使いやすいボトルをセレクトするコツは、注ぎ口にあります。コルクやガラス栓のものはボトルの注ぎ口のところもすっきりとしていて、花を生けても違和感がありません。
スクリュータイプのものは、注ぎ口に跡がついているので「飲み物を入れていたボトル」だというイメージが出やすいです。スクリュータイプのボトルを使用するときは顔の大きな花を選んだり、下に少したれるタイプの花を選んだりして、注ぎ口のスクリューの跡を隠すように生けるといいでしょう。
秋の夜長、お酒を楽しんだ後は、空いたボトルに花を飾って、素敵な時間の余韻を長く楽しんでみてください。
Column
新しい私を、花と。
Playful Flower Life!
花を買って家に飾る、それだけでも十分に豊かな時間を過ごせるけど、花の楽しみ方はノールール。今まで知らなかった新しい花との付き合い方を、フラワーデザイナーの佐藤俊輔さんがお届け。もっと自由に花と触れ合って、プレイフルな日々を楽しもう。
2022.10.04(火)
文=佐藤俊輔
撮影=平松市聖