●グループ内では、“お母さん”的存在

――その後、18年の「さとり少年団」との合同ユニットとして、「ONE N' ONLY」が結成されます。当時の心境のほか、「ONE N' ONLY」の特色やメンバー内におけるNAOYAとしての担当は?

 その頃は自分でもよく分からないまま、どんどん話が進んでいくようで、とにかく歌もダンスも与えられた課題や目の前にあるものを一生懸命やっていました。「ONE N' ONLY」は、メンバーみんな個性がバラバラなのに、仲良しでチームワークの良さが特色。

 僕はメンバーの面倒見がいいことから、みんなから“お母さん”と呼ばれることが多いんです(笑)。リーダーのHAYATOが太陽なら、僕は月のような存在で、陰で支えている感じがします。

――草川さん個人にとって転機となった出来事は?

 やはり、「ONE N' ONLY」のメンバーになったことだと思います。「ONE N' ONLY」になったことで、歌う楽曲と踊るダンスが大きく変わったんです。ダンスに関しては、より激しく、難しくなったことで、とても苦戦しました。

――19年にはメンバーKOHKIさんの卒業があり、またコロナ禍により活動自粛となりましたが、当時の心境は?

 結成して5年経ちましたが、半分ぐらいコロナ禍だったので、スゴく悔しい思いをしました。そんななか、ファンのみんなのそばにできるだけいられるよう、オンラインライブをやったりして、いろいろ試行錯誤しました。でも、どこかでモノ足りなさはあって……。それでTikTokを始めたことが今に繋がっているので、逆境もプラスに変えられたと思っています。

●今泉力哉監督による主演ドラマで演技に開眼

――TikTokのフォロワー数は570万超と、日本人音楽アーティストの中でもトップクラスといえますが、その理由は?

 海外の曲、特に南米ブラジルの曲に合わせて踊っているんですが、言葉が通じなくても、メンバー全員が素で楽しんでいるところが世界中に届いたのかもしれないと思っています。TikTokがきっかけとなって、去年と今年、ブラジルでライブができたことも嬉しかったです。

――さて、役者としての活動に関していえば、19年放送のドラマ「his~恋するつもりなんてなかった~」では主演に抜擢。今泉力哉監督が手掛ける「映画版」に繋がるBLドラマという点でも話題になりました。

 オーディションで、今泉さんに実際、芝居を見てもらって選んでもらった迅役だったので、とても嬉しかったです。自分の自信にも繋がりましたし、現場がとにかく楽しくて、今泉さんが作られる会話劇の世界観が好きでした。BLドラマだったので、日本のファンの方はビックリしていましたが、南米のファンの方とオンライントーク会をしたときに、僕のことをTikTokでなく、「his」で初めて知ったという方が多かったんです。それを聞いて、逆に僕がビックリしました(笑)。

――今泉監督の演出はいかがでしたか?

 自然体の芝居というのを学ばせてもらいました。それまでも、演技の仕事はいくつかやっていたんですが、そこまで経験もなく、右も左も分からなかったんです。でも、「his」の現場を経験したことで、現場や撮影の進め方や役作りといったことを肌感覚でつかむことができましたし、とても感謝しています。

2023.08.25(金)
文=くれい響
撮影=今井知佑
ヘアメイク:ビューティ★佐口(OFFICE BEAUTY)