この記事の連載

ごちそうエビフライ

 三州屋は、正直外せないメニューだらけなんだけど、個人的にどうしても頼んでおきたいのが、揚げもの。そのコーナーだけでもかなりの品数があるなか、今日は特別。単品最高級品の「えびフライ」、いっちゃおう!

 いや~、思いきった。大皿の上に千切りキャベツとレモンと、巨大な海老フライが3本。さらにぜいたくなことに、単品100円の「タルタルソース」も追加してしまった。

 目の前にすると巨大さに圧倒される、ぶりんぶりん、旨味底なしの大海老。それが揚げたてサクサクの衣に包まれ、タルタルソースをまとっている。人類が経験できる幸福度において、これを超えるものがどれだけあるだろう?

 おっと、ビールがなくなった。次はなにを頼もうか。って、ここでの定番が、僕にはもうひとつあるんだけど。

 瓶入りのレモンサワー、ハイリキ。これを、氷を入れたグラスに注いでちびちび飲む一連の動作が、なんだかこの店にいる喜びをより盛り上げてくれる。

 ランチにも、ディナーにも。昼飲みにも、仕事終わりの一杯にも。庶民のニーズに幅広く対応してくれ、そしてなんだか、この店で飲むこと自体に、特別な喜びがある。酒飲みならなば一度は訪れてみたい、銀座の老舗、三州屋なのだった。

大衆割烹 三州屋 銀座本店

所在地 東京都中央区銀座2-3-4
電話番号 03-3564-2758
営業時間 10:30~22:00(月~木)、10:30~22:30(金)、10:30~21:30(土)
定休日 日曜

パリッコ

酒場ライター・漫画家。酒場好きが高じて会社員から酒場ライターに転身。未知の大衆酒場、ちょっと怪しいとされる店にも果敢に訪れ、心のオアシスを発掘。酒場愛に溢れた文章やイラストは、吞兵衛の心をわしづかむ。酒カルチャー雑誌『酒場人』監修。著書に多数。新刊はスズキナオ氏との共著『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』(スタンド・ブックス)ほか。
Twitter:@paricco

次の話を読むビルのなかに大衆酒場空間が広がる中目黒「大衆割烹 藤八」

← この連載をはじめから読む

2023.08.25(金)
文・撮影=パリッコ