酒場というと“せんべろ”をイメージしがちですが、安くてうまいが一番ではないんです。

 酒場の究極の魅力は“人”。特に古い個人経営の酒場は、大将や女将さん、集まるお客さんにも強烈なカラーがあって面白い。

 チェーン店にはない独特の空気感を持つ名酒場を、酒場ライターのパリッコさんに教えていただきました。


家庭的な料理と会話にくつろぐオフィス街のオアシス 

●新橋「壹番館」

 スナックみたいだけれど、新橋にこの店ありと囁かれる立飲みの名酒場。

「女将と娘さんの親子ふたりでやっていて、おつまみはオール300円。おばあちゃんが作ってくれたようなシチューやカレーで飲むのが好き。

 お通しのフルーツは無料で、飲食店が多くない2階まで上がってきてくれてありがとうという女将の想いに癒される。人気店なので開店直後が狙い目」(パリッコさん)

 朝9時から仕込み始める手作り料理はもちろん、酒飲みを喜ばせる濃いめの焼酎割りも愛情たっぷり。

壹番館

所在地 東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館2F
電話番号 03-3573-1327
営業時間 15:00~23:30
定休日 土・日曜・祝日

※価格はすべて税込み

パリッコ

酒場ライター・漫画家。酒場好きが高じて会社員から酒場ライターに転身。未知の大衆酒場、ちょっと怪しいとされる店にも果敢に訪れ、心のオアシスを発掘。酒場愛に溢れた文章やイラストは、吞兵衛の心をわしづかむ。酒カルチャー雑誌『酒場人』監修。著書に『酒場っ子』(スタンド・ブックス)ほか。

人情あふれる
古きよき酒場入門

2021.03.20(土)
Text=Kaori Minetsuki
Photographs=Taro Terasawa

CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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