酒場というと“せんべろ”をイメージしがちですが、安くてうまいが一番ではないんです。酒場の究極の魅力は“人”。特に古い個人経営の酒場は、大将や女将さん、集まるお客さんにも強烈なカラーがあって面白い。
いつかは行ってみたい名酒場を、酒場ライターのパリッコさんに教えていただきました。
名物のまくらを目当てに 全国の酒場ファンが訪れる
●恵比寿「とよかつ」

「駅近なのですが、いわゆる恵比寿のお洒落な人たちの視界には絶対に入っていなさそうな“見える人にしか見えないお店”。でも酒場界では超有名な老舗で、きれいすぎない空間もほっとする」(パリッコさん)
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
焼きものは追加注文できないという店独自のルールがあって、怖い店なのか? と思いきや、ご主人も女将も、訪れる客も気さくで朗らか。

昭和21年創業の、まだ酒場が少なかった時代に、客を待たせないようにという優しさから生まれたルールだという。ほどよい緊張感、それもまた酒場の魅力なのだ。

とよかつ
所在地 東京都渋谷区恵比寿西1-3-5 アルス恵比寿メイクス103
電話番号 03-3461-8539
営業時間 17:00~22:00(L.O. 21:30)
定休日 日曜・祝日
※価格はすべて税込み
パリッコ
酒場ライター・漫画家。酒場好きが高じて会社員から酒場ライターに転身。未知の大衆酒場、ちょっと怪しいとされる店にも果敢に訪れ、心のオアシスを発掘。酒場愛に溢れた文章やイラストは、吞兵衛の心をわしづかむ。酒カルチャー雑誌『酒場人』監修。著書に『酒場っ子』(スタンド・ブックス)ほか。
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人情あふれる
古きよき酒場入門
2020.08.19(水)
Text=Kaori Minetsuki
Photographs=Taro Terasawa
CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。