カツとカレーが別々だったり、キャベツが添えてあったりと、店ごとにカツカレーのスタイルはさまざま。
今回は、食べ方学会会長の市島晃生さんに、3タイプのカツカレーの食べ方をうかがいました。
脂の多いカツの端はヅケにして脂を抜くなど、おいしさアップの技を伝授します!
カツカレーを心行くまで味わう食べ方を 真剣に考えました
どういう順番で、どのように食べればこの一皿を味わい尽くせるのか。
戦略を練り、将棋の駒を慎重に進めるのと同じように、あらゆる食の“食べ方”を日々研究しています。
特に難局だったのがカツカレー。
ごはん、カレー、カツの三位一体を楽しむのはもちろん、カレーをかけずにシンプルなカツの味も楽しみたいし、カレーライスとしても味わいたい。
店ごとにカレーのかかり具合が違うのも悩ましい。そこでカツカレーを存分に満喫するために研究を重ね、僕なりの食べ方の解を出しました。
ただしこれは唯一の正解ではないので、自分らしい食べ方を探してみてください。
また、カツカレーの難題は「食べにくさ」にもあります。
スプーン1本でも食べられますが、フォークや箸を併用すると、より最適な食べ方が構築できます。
食べ方とカトラリーを工夫してこそ、カツカレーを制すことができるのです。
カツカレー発祥の老舗で 王道の一皿を
#Type01 「銀座スイス」
大量の野菜とひき肉を煮込み、パンでとろみをつけた重すぎないカレーはライスやカツとの絡みが抜群。会津産の米のおいしさも格別。
「カツカレーの元祖と言われている正統派。カツカレーの基本の食べ方を、ここで体験してください」(市島さん)
◆食べ方解説
① 左端のカツをカレーに沈めて放置し、「カツのカレーヅケ(以下ヅケカツ)※注」を作る。
② 左から2番目のカツ(一番おいしいとされるロースの芯)を何もつけずにそのまま食べる。すぐにごはんを口に運ぶ。カレーを忘れ、純粋に「カツライス」=トンカツ定食として楽しむ。
③ 中央のカツにカレーをかけ、下のごはんと一緒にスプーンですくって食べる。ここでやっと本命の「カツカレーライス」を堪能する。
④ ごはんをスプーンでカレー側に寄せ、「カレーライス」として楽しむ。この食べ方だと無駄に皿が汚れない。福神漬けも堪能する。
⑤ 右から2番目のカツはスプーンで半分に切る。スプーンにごはん、カレー、半分のカツを順にのせ、カツカレーの小宇宙「アンダーカレー衣サイドアップ」を作る。
⑥ ⑤の残りのカレーがかかっていないカツは断面を上にし、肉部分にだけカレーをかけ、「アッパーカレー肉サイドアップ」にする。衣にはカレーをかけず、サクサクのままカツカレーを堪能する。
⑦ いよいよ「ヅケカツ」に手をつける。まずはカツの半分をかじり、漬かり具合を確認。
⑧ 残り半分もかじり、すぐごはんを食べて「ヅケカツライス」を堪能する。
⑨ ラストのカツはごはん、カレーと合わせ、本来のあるべき姿として味わってフィニッシュ!
※注「カツのカレーヅケ」はタベアルキストのマッキー牧元氏の発案のものになります。
●カツカレーのタイプ:非武装中立地帯派
トンカツの端にちょっとだけカレーがかかり、そこを歩み寄りの緩衝地帯としたい派閥。
●使用したカトラリー
銀座スイス
所在地 東京都中央区銀座3-5-16
電話番号 03-3563-3206
営業時間 11:00~21:00(L.O. 20:30)、日曜・祝日 10:30~20:30(L.O. 20:00)
定休日 不定休
http://ginza-swiss.com/
2020.06.22(月)
文=嶺月香里
撮影=鈴木七絵、平松市聖