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 何かと行く機会が多い、新宿、渋谷、五反田、赤坂――。でも、何度となく通っているはずなのに、意外と行きつけの店がつくりにくい場所でもあります。

 そんななんだか落ち着かない駅にある「ちょうどいい」お店を、酒場ライターのパリッコさんに教えてもらいました。女性ひとりでフラッと寄るにも最適です!


赤坂に大衆酒場なんてあるの!?

 赤羽、上野、新橋に立石。そんな、赤ちょうちん系の大衆酒場大好きっ子な僕が「今日はどこで飲もうかな!?」とワクワクしてしまう街がある一方、「一体どこで飲めばいいの……?」と、とたんに挙動不審になってしまう街もあります。

 例えば、赤坂。一流レストランや高級料亭が立ち並び、とても自分が気軽に入れるようなお店がなさそうなイメージ。何かの用事で出かけていって、さて一杯飲みたいな、と思っても、どこに入ったらいいかわからない。そこで誰にともなく、「す、すみません! 家のある練馬区に帰ってから飲むことにします!」なんてつぶやいて、そそくさと電車に乗りこむのがよくあるパターン。

 ところが実はそんな赤坂にも、リーズナブルにお酒や絶品料理が味わえる、奇跡のような大衆酒場がちゃ~んとあったんです! それが今回ご紹介する「梓川」。

出合いのきっかけは人気ラジオの「アトロク」

 TBS放送センターから放送されている人気のラジオ番組「アフター6ジャンクション」。日々さまざまなゲストが登場し、僕もそのひとりとして何度か出演させてもらったことがあります。というか最近赤坂に用事があるといえば、その「アトロク」に出させてもらうときくらい。梓川に出会ったのもラジオ出演後でした。

 飲み友達で、アトロクパーソナリティーの宇多丸さんとも仲の良いラッパー、METEORさんが、僕の収録をふらりと見学に来てくれた。終われば当然「一杯やって帰りますか」ということになりますが、ふたりとも赤坂には縁がない。どこで飲んでいいのかわからない。そんななか、どことなく大衆的な雰囲気に誘われ、えいっと入ってみることにしたのがこのお店だったというわけです。

 場所は「赤坂サカス」や「赤坂Bizタワー」からほど近い駅前一等地。とあるビルの地下へと続く階段を降りてゆくと、この雰囲気! まさに隠れ家と呼ぶにふさわしいお店ですよね。

 そんなに広い店内ではないけれど、カウンターの他にテーブル席や座敷席もあり、初訪問時はコロナ前だったこともあって、周囲の勤め人と思われるお客さんたちで大にぎわいでした。

 席に着いてメニューを確認し、ふたりで目を合わせニッコリ。まさに大衆酒場なリーズナブルさで、幅広く日本酒が揃っているのはもちろん、我々にはなじみ深い「ホッピーセット」や「バイスサワー」なども置いてくれている。その、気取らない雰囲気が嬉しいじゃないですか。

2020.12.11(金)
文・撮影=パリッコ