世界初の宇宙撮影映画も待機

 崖から落ちるくらいで驚いていてはいけない。新たな映画のロケ地は宇宙! イーロン・マスクのスペースXやNASAと協力し、国際宇宙ステーションに接続された映画スタジオで、長編映画を撮影するのだそうだ。

 「スペース・エンターテインメント・エンタープライズ‐1」と名付けられたこのスタジオは、2024年12月に打ち上げ予定。映画のタイトルは未定、予算は推定2億ドル(約227億円)――。

 話の規模が大きすぎて、正直この金額が高いのか安いのかさえサッパリ分からない。しかし、宇宙での映画撮影という無謀なプランさえ「トムならやってくれる」と思えるからすごい。

 彼は宇宙でも無謀な提案をし、スタッフを慌てさせるのだろうか。

「ちょっとこのシーン、宇宙服脱いでみるわ。ファンが喜ぶし」とか言いそうで怖い。

 『トップガン・マーヴェリック』の会見で彼はこう言っていた。

 「テレビでは絶対に観ないでください。これは映画です。皆さんのために作った映画ですから」「人生を祝福するような映画を作りたかった」。

 トム・クルーズの壮大な無茶は、映画と映画館を愛するファンに、大きなスクリーンにふさわしい「サプライズ」を届けるためのものなのだろう。

 ファンの声援に応えて、長時間にわたり、ひとりひとりに向けてサインや写真撮影に応じてくれる、ファン思いのエピソードはもはや有名。彼の頭の中には、崖から飛んでいるときも、ポップコーンを頬張りながら喜んで観てくれる人の顔が思い浮かんでいるのかもしれない。

 映画という虚構の世界を「どうせ作り物でしょう」としらけさせないために。観ている人の頭から嫌なことを吹っ飛ばすために。トムはどこまでも飛んでいく。

 もう行けるところまで行ってほしい。映画界の限界突破サバイバー、トム・クルーズのアドベンチャーを見守りたい!

映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

2023年7月21日(金)全国公開

©2023 PARAMOUNT PICTURES. 
監督・脚本:クリストファー・マッカリー(『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』)
出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴァネッサ・カービー、イーサイ・モラレス、ポム・クレメンティエフ、ヘンリー・ツェニー
配給:東和ピクチャーズ
https://missionimpossible.jp/

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田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2023.07.20(木)
文=田中 稲