さて、問題です。次の曲のタイトルは何!

「イェイイェイイェイイェイイェイ! ウォウウォウウォウウォウ!」

 ハイッ、そこのあなたも、その横のあなたも正解! 「survival dAnce ~no no cry more~」。この部分だけで、サーバイバルダーンス! という続きの歌詞が口から出るし、勝手に両手は横に揺れるし、恐ろしいわTRF! 自動的に人をハッピーにさせる無形文化財として登録されてもいいくらい、画期的なイェイイェイウォウウォウである。

 私が生まれてはじめてTRFを観たのは、1993年の「EZ DO DANCE」。コムロブームのプロローグといってもいい革命曲だと今では思うが、当時は

「えーと、この人たちは何のジャンル?」

 と戸惑ったことを覚えている。

 レーザービームのような声を放ちながら歌うYU-KIは「ボーカル」だとはっきりわかるのだが、ダンスメンバー(SAM、ETSU、CHIHARU)の立ち位置が、これまで見てきたアーティストやアイドルのステージとなんだか違った。バックダンサーではなく、彼らも主役のようだ。ボーカルと同じ立ち位置、時には前に出て、ガンガンに踊っている!

 さらにDJ KOOの存在も衝撃。なんか後ろでいろんな機材使いながら、マシンガンのようにグループを紹介しつつ煽ってくる!

 これまでに見たことがないポジショニングを見せてくる謎グループ。しかも全員「キラキラ」というより「ゴリゴリ」とでも表現したくなるような職人オーラを放っていた。

「いったい誰をどういうテンションで見ればいいのか」

 と私が思ったのも致し方がないことだろう。

 人は未知のものを見るとオロオロする。「EZ DO DANCE」は、1993年度オリコンランキングでは72位と意外なほど低いのも多分、斬新すぎて世間的にまだ受け入れ態勢ができていなかったからなのかも。

当時は、遠い遠い存在で終わると思っていた。まさかその後30年の長きにわたり、あらゆる方向でTRFとその楽曲にお世話になるとは……!

2023.06.20(火)
文=田中 稲