自分の感情には嘘をつきたくない
「仕事をしていくと、自分でコントロールできないところで、ワクワクすること、しないことが出てくると思うんです。それはたぶんどの仕事でも同じですよね。でも、仕事だからしょうがない、と簡単には片付けられない。ときめかないものは、結果的にうまくいかなかったりするので、気持ちが正直に出ちゃうんです」
自分の感情には嘘をつきたくないという。取り繕わない、仕事に対して生一本に向き合う誠意こそ、彼の矜持なのかもしれない。
「ときめいていない感じが出てしまうのは申し訳ないことなので、その場と距離を取ったほうがいいと思うことも増えてきました。ただし、いろいろやって、試して、無理なら退く。今の自分の経験値なら、そういった判断をしてもいいのかなと思うんです。やる前から“いや、これは無理です”と言うのは、違うと思うので。一回やって、経験して、感じて、その上で自分に正直に選択していけばいいというマインドでいますね」
キャリアも長くなれば培った経験や直感で判断することもできるかもしれないが、山下さんは何事もまずはトライしてから、と言い切った。真摯さが言葉の端々からうかがえる。
「無理に嫌なことをして、よそ見している時間なんてないんで。目標に向かって、真っすぐ正面から突き進んでいくしかないんです」
そうきっぱりと答えた、意気の高さが凜々しい山下さん。高揚感のある仕事を追い求め躍動したい。そんなほとばしる熱気が彼の全身を包んでいた。
2023.07.07(金)
Text=Kyoko Akayama
Photographs=Norihiko Okimura
Styling=Go Momose
Hair & Make-up=Ichiki Kita(Permanent)