奇想天外なデザイナーズホテルも見逃せない

 実はソトノマ現オーナーの桑田さんの本業は、福江島の繁華街に位置するデザイナーズホテル「hotel sou」の取締役。かつて仕事関係で知り合った建築家の谷尻誠さんと吉田愛さんが率いるサポーズ・デザインオフィスに設計を依頼、2020年に開業しました。新たなリゾートホテルが誕生している福江島の、リーディングホテルとなっています。

 個人宅だった建物を活かしつつ改装されたホテルは、そのデザインが奇想天外。壁がぶち抜かれ、部屋からの眺めは、まるで洞窟の中から外を覗いているよう。砕いたコンクリート壁の断面が露になり、勢いあまった植物が生い茂り、どこか軍艦島の廃墟感と通じるものがあります。長崎の離島にこんなおしゃれなホテルがあったとは!

 さて、ソトノマで島のおすすめスポットの情報を仕入れて、車で島内探検へ出かけました。

さあ、いざ絶品ビーチへ!

 「日本の道百選」にも選定されている国道384号線にのって、中心地を出発。水の浦教会を経て、まずはお目当ての高浜海水浴場を目指します。

 西海国立公園の特別地域に指定されたここは「長崎新観光百選」「日本の渚百選」「日本の水浴場88選」にも選ばれている、絶景ビーチです。

 浅瀬はライトブルー、やがてブルー、ネイビーと、沖に向かってゆるやかに青の濃度が増していきます。原生林が茂る緑の岬に囲まれ、背後は折り重なるような山、沖には嵯峨島。魚籃観音展望所から見下ろすと、まるで天国の庭のジオラマを見ているようです。

 高浜海水浴場の隣の頓泊(とんとまり)海水浴場も、また違ったスケール感。ごくごく浅い瀬が陸に向かって入り込んだような地形で、潮の具合で風景が変わりそう。地元で人気のビーチです。

2023.05.20(土)
文・撮影=古関千恵子