亡くなった人に会えるとされる「三井楽」へ

 高浜海水浴場から国道384号線を少し戻って、北上した三井楽(みみらくのしま)へ。この史跡名勝天然記念物がある三井楽半島へ入ると、どこか空気感が変わります。

 半島北端近くの辞本涯(じほんがい)は空海も立ち寄った、遣唐使が日本を出発する際の最後の寄港地。ゴツゴツした磯場に打ち付ける波、広がる東シナ海を眺めていると、生きて戻れるかわからない船旅を前にした遣唐使たちの決意が想像されます。また、その母たちの切なる思いも「万葉集」に詠まれています。

 また、辞本涯の南西にある三井楽村淵の元は、潜伏キリシタンの聖地とされる外海(そとめ)から農民が移り住んだエリア。「渕ノ元カトリック墓碑群」には海に面して十字架などの墓碑やマリア像がたたずみ、どこか異境を感じます。

 帰りは、山の中にぽつりと立つ、かつての保育園を改装した中華料理の「とうがらし」へ。ここがまた、何を食べてもおいしい!

 高浜海水浴場で海に憩い、三井楽で“最果ての島”を感じ、絶品中華でご満悦。ソトノマ考案のルート、おすすめです。

福江島

●アクセス 長崎港からジェットフォイルで約1時間30分、長崎空港から飛行機で約30分
●おすすめステイ先  hotel sou
https://www.hotelsou.com/

古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

Column

古関千恵子の世界極楽ビーチ百景

一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!

2023.05.20(土)
文・撮影=古関千恵子